2024.7.10

躍進著しいマクラーレン。しかし目立ちすぎるミスによる取りこぼし……5勝を失った可能性

Andy Hone / Motorsport Images

 2024年シーズンのマクラーレンは、優勝を争うような速さを見せ始めているものの、ミスの多さも目立っている。もしミスがなかったら……そういう計算を行なうと、獲得ポイント上でレッドブルまで数ポイント差に迫っていた可能性がある。

 先日行なわれたイギリスGPで、24戦が予定されている2024年シーズンのF1はその半数が終わったことになる。ドライバーズランキングではマックス・フェルスタッペンが、コンストラクターズランキングではレッドブルが、それぞれ首位に立っている。

 レッドブルのリードは、現時点ではフェラーリに対して71ポイント。マクラーレンはフェラーリから7ポイント差のランキング3番手である。

 ただそのランキング3番手のマクラーレンには、取りこぼしが目立っている。イギリスGPでランド・ノリスは、2回目のピットストップが遅れたこと、そして最終スティントでミディアムタイヤではなくソフトタイヤを履いたことで、メルセデスのルイス・ハミルトンに勝利を献上してしまうことになった。

 マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、「まず第一に、近づけたのは良いニュースだ」と語っているが、もっと出来た可能性がある。マクラーレンの今季の優勝は、これまでのところマイアミGPでのノリスの1勝のみだが、本来ならば6回になっていた可能性がある。

 マクラーレンがミスにより勝利を失った可能性があるのは、モナコ、カナダ、スペイン、オーストリア、イギリスの5戦……つまりここ5戦連続で、何らかのミスを犯したことで勝利を逃したと言うことができるのだ。

 モナコでは、ピアストリが予選Q3のアタックで全てのセクターベストを繋げることができていれば、ポールポジションを獲得できていたはず。そして、レースで起きたこと(各車ともペースを落とし、タイヤマネジメントのみに終始したレースになった)を考えれば、ピアストリのF1初優勝は、スタートさえ決められればほぼ確実だった。

 カナダGPでノリスは、セーフティカーのタイミングが悪くタイムロスし、ポジションを落とした。しかしウエットからドライへとコースコンディションが変化した後、フェルスタッペンの2週後にピットインした。しかしコースに戻った直後にフェルスタッペンに先行されてしまう……ノリスはあと1周早くピットインしていれば、勝利を手にできていた可能性がある。

 スペインGPではレース序盤にラッセルに先行され、これをなかなかオーバーテイクできず……フェルスタッペンにリードを広げられてしまった。これで勝利を逃した。

 またオーストリアGPでノリスは、フェルスタッペンとコース上で接触してリタイア。ペースの面ではマクラーレンの方が優勢であった。

 そして前述のイギリスGPだ。

 マクラーレンがそれらのチャンスを全て活かし、後方の順位に変化がないという前提で仮定すると、コンストラクターズランキング争いは、大きく変化していたはずだ。

 レッドブルはランキング首位のままだが、その合計ポイントは373ポイントから364ポイントに減少する。一方でマクラーレンは、現状の295ポイントから351ポイントに急増することになり、レッドブルから僅か13ポイント差のランキング2番手に躍進することになる。

 またフェラーリの獲得ポイントは56ポイント減って3番手に落ち、メルセデスはランキング4番手という順位は変わらないものの、獲得ポイントが221から214に減る。

 この仮定をドライバーズランキングにも適用すると、フェルスタッペンの首位はやはり変わらないが、2番手ノリスは現在の84ポイント差ではなく26ポイント差に接近することになる。

 2021年のチャンピオン争いは、フェルスタッペンとハミルトンの激戦だった。その時のことを振り返ると、シーズン前半を終えたところでハミルトンが首位、わずか8ポイント差のランキング2位にフェルスタッペンがつけていた。

 その2021年と比べると差は大きい。しかし勝利数の上では、フェルスタッペンが7勝から5勝に減少。ルクレール、ラッセル、ハミルトンは勝利を失うことになるだろう。

 取りこぼしが目立つマクラーレン。しかし、そのパフォーマンスが急速に伸びているのは紛れも無い事実だ。シーズン残りの12戦でレッドブル、そしてフェルスタッペンを苦しめる筆頭は、このマクラーレンに他ならないだろう。

出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/exactly-how-much-have-f1-race-mistakes-cost-mclaren-this-year/10633514/
この記事を書いた人 Alex Kalinauckas

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