
ここ最近、厳しいレースが続いていたレッドブル。これについてメルセデス陣営からは、「最近彼らが投入したアップグレードはダウングレードだったみたいだ」と厳しいコメントも飛んでいたが、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はカナダGPを勝ったことについて「ダウングレードがあっても勝つことができた」と、ライバルを痛烈な皮肉で牽制した。
近年のF1を支配してきたレッドブルは、2024年序盤もその強さは変わらないように見えた。しかしここ最近ではライバルに迫られるシーンも目立ち、マイアミGPやモナコGPでは勝利を逃すことになった。
この状況についてライバルのメルセデスは、パフォーマンス向上を狙った最近のアップデートで、レッドブルが意図せずマシンを「ダウングレード」してしまったのではないかと指摘した。
メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンはカナダGPのはじめに次のようにコメントしている。
「彼らのアップデートはダウングレードだったように見えるね」
そうアリソンは語った。
「それによって、彼らが本当に苦労することを祈るよ」
「(アップデートが機能しないと)状況は苦しくなる。ツールを信頼できなくなった瞬間、後戻りしなければならなくなり、時間を失うことになるからね。時間は最大の友だが、それを失うことは最悪の敵だ」
この発言の後、カナダGPの予選では、メルセデスのジョージ・ラッセルが、全くの同タイムながらレッドブルのマックス・フェルスタッペンを下してポールポジションを獲得。メルセデスのアップグレードが成功していることを証明し、先のアリソンの発言を強化した。
しかし決勝レースになるとフェルスタッペンが本領を発揮。雨に翻弄されるレースになったとはいえ、フェルスタッペンが今季6勝目を挙げ、3位と4位に入ったメルセデスに差をつけた。
レッドブルのホーナー代表はこの結果を受け、ライバルのコメントを引用して皮肉たっぷりのコメントを残した。
「我々にはダウングレードがあったにもかかわらず、アップデートした彼らを打ち破ることができた」
ホーナー代表はそう語る。
「勝つことができ、報われたレースだった」
当初カナダGPは、レッドブルにとっては厳しい週末になることが予想されていた。舞台となったジル・ビルヌーブ・サーキットは、高い縁石を使いこなすことが需要であり、レッドブルはモナコでこの点に苦労し、大敗北を喫したばかりだったからだ。
「ここ数戦は我々にとっては波乱の展開となってしまっていたが、それでも過去3戦のうち2戦で勝利することができた」
「イモラではポールポジションを獲得し、ここカナダでも両ドライバーが満足できていないマシンでもポールポジションと同じタイムを記録することができた。だから、我々はこれを改善できるかどうかに非常に集中している」
「シンガポールのようにシーズン後半には乗り心地の問題が重要になってくるサーキットも控えている。しかし我々は、フェラーリやマクラーレン、そして今週末加わってきたメルセデスらが、どのサーキットでも競争力を発揮してくると予想している」
「だから9戦中6戦で勝利していても、我々はギャップを守っていくために、最高のパフォーマンスを発揮しなくてはならない」
ただホーナー代表は、カナダGPで強さを見せたメルセデスについては、まだ他のサーキットでも強いかどうかを判断するには早いかもしれないとも考えている。
「メルセデスは常に、路面のグリップが低いサーキットでは好調さを維持してきた。そしてここは、本当の意味では高速コーナーはないんだ」
「路面が再舗装されたことにより、おそらく彼らの強さが発揮されたのだろう。だから今後の3戦で彼らの調子がホンモノなのか、1戦限りなのか様子を見てみよう」
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