
メルセデスは、2024年シーズンのF1開幕戦バーレーンGPでジョージ・ラッセルが5位、ルイス・ハミルトンが7位に終わった。
ラッセルは4周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)をパスして2番手に浮上、優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に1.7秒差まで近づいたことを考えるとこの結果は物足りないものだろう。
ラッセルの見事な走りは、冷却性能の誤算によって引き起こされたパワーユニット(PU)の問題への対処で台無しになった。ラッセルはリフト&コースト(早めにアクセルをオフして惰性で走行すること)をしてPUの温度をコントロールしなければならなかったのだ。
ハミルトンも、シートにクラックが入ってしまうという別の問題に悩まされた。
PUの不具合は、カスタマーチームであるウイリアムズにも影響を与えた。アレクサンダー・アルボンのステアリングには、温度上昇の警告が出ている様子が国際映像で映し出され、ローガン・サージェントは電子制御の一時的な不具合で一度マシンを止めている。
信頼性の問題について問われたメルセデスのトト・ウルフ代表は、motorsport.comに次のように説明した。
「テストはとても良かった。大会初日と2日目のパフォーマンスも心強かった。クルマは安定していたし、良かった。ドライバーたちもクルマを気に入っている」
「ソフトタイヤでレースをスタートしたときは、すべてが計画通りだった。そして残念なことに、予想以上にエンジンを冷却しなければならなかった。その原因が何なのかはまだ理解できない」
「カスタマーチームのウイリアムズも同じ問題を抱えていた。他の2チーム(マクラーレンとアストンマーティン)は違った。予想外だった」
ウルフ代表は、PUのオーバーヒートとバッテリーの問題が原因と思われるパフォーマンス低下、そしてそれを防ぐための対策が相まって、1周あたり0.5秒以上のタイムロスにつながったと見ている。
ラッセルは57周のレースを終えて、表彰台に上がったカルロス・サインツJr.(フェラーリ)から22秒、優勝したフェルスタッペンから47秒遅れでフィニッシュしている。計算上では、PUトラブルがなければラッセルはサインツJr.と表彰台争いができたことになる。
「PUの性能を0.3~0.4秒落として、そのうえでリフト&コーストしなければならなくなった。だからおそらく、0.5~0.6秒ほどクルマが持っている力が引き出せなかったと思う」
「だからあまり楽しくなかったんだ……数度どころか、10度くらい温度がオーバーしていたこともあったよ」
ウルフ代表は第2戦サウジアラビアGPまでにチームがこの問題が解決できるとと考えているが、温度の急上昇はラッセルとハミルトンがトラフィックの中で走ったこととは無関係だと語った。
「トラフィックがなかったとしても、最初の時点ですでに限界を超えていたと思う」
「数日前に行なったロングランと同じ冷却レベルで走ったから分からない。ただ、我々が思っていた以上に温度が急上昇したんだ」
「他のどのチームも、以前よりマシン(の冷却口)を開けたとは思えない。だから我々の問題なんだ」
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