
バーレーンで3日間のF1プレシーズンテストが開始。各チームが新車をコース上で走らせ始めたことで、発表会では隠されていた秘密が徐々に明らかとなってきた。
中でも注目なのは、レッドブルRB20のサイドポンツーンだ。昨年のモノと比べると明らかに大きくコンセプトが変更されたものの、発表画像はその詳細が分からないように加工されていた。
レッドブルは高い位置にインテークを設け、下側のボディーワークを前に伸ばす受け口(アンダーバイト)スタイルのコンセプトを、これまで使ってきた。しかしこの方向では、パフォーマンスの限界に達したと考えたのだろう。
RB20ではかつてメルセデスが使用していたゼロポッド・コンセプトを彷彿とさせる縦長の開口部を設けた一方で、レッドブルが昨年まで採用していたようなコンセプトをメルセデスが採用したことを考えると興味深い。
RB20はサイドポンツーン上側のボディーワークを前方に伸ばすオーバーバイトスタイルになっており、インテークも全く異なる配置となっている。
テスト初日、マックス・フェルスタッペンのドライブでRB20がコースを走ったことで、レッドブルが何を行なったのかがより明確になってきた。
レッドブルRB20にはサイドポンツーンにふたつの開口部がある。そのうちのひとつはシャシー側面に薄く、垂直に開いている。さらにオーバーバイトの下には、エイの口のように横長の開口部が存在する。
シャシー側面に沿った垂直のチャンネルは、昨シーズン開幕からフェラーリが使用していたバイパスダクトを彷彿とさせる。
この垂直インテークから入った気流が横長のインテークから入った気流と合流し、サイドポンツーン内のラジエーターやクーラーの冷却を助けるのか、それともフェラーリが狙ったようにより空力的な目的があるのかは現段階では分からない。
またコクピットの後方、ヘイローの付け根にふたつの開口部が設けられているのも、新たに判明したRB20の特徴だと言えよう。現代F1では、エンジンカバーやサイドポンツーン内部の気流コントロールも重要とされている。
上から見ると、エンジンカバーに設けられた段差がマシン後方に気流を導くウォータースライダーのような形状になっていることもよく分かる。ふたつの穴から入った気流がエンジンカバー内で冷却に使われた後、ビームウイングに吹き付けられ空力的な効果を生んでいる可能性もあるだろう。
2024年のレギュレーション変更でシャシーにドライバー冷却用の開口部を追加できるようになった。レッドブルはカーナンバーの両脇に小さなシュノーケルをふたつ設けていることも確認できる。