
世界耐久選手権(WECの)ハイパーカークラスに参戦するプロトン・コンペティションは2024年シーズン開幕に先立ち、今季走らせるポルシェ963のカラーリングを発表した。
プロトンは今年、スポンサーであるF.A.T.インターナショナルのレッド、ホワイト、ブラックのカラーリングを採用。かつてル・マンを彩ったデザインをWEC最高峰クラスで復活させる。
このカラーリングは1980年代から90年代にかけて、ヨースト・ポルシェのワークスカーを飾り、デイトナ24時間レースやル・マン24時間レースを駆け抜けてレース界にその歴史を刻んできた。ヤニック・ダルマス、ハーリー・ヘイウッド、マウロ・バルディを擁して1994年のル・マンを制したポルシェも、このカラーリングだった。
なおこの時ポルシェが走らせたのは、GT1マシンのダウアー962LMだった。この962LMは当初、ポルシェのグループCカーである962の公道仕様車として構想されていたが、グループCカーのレースが終了した後、市販販売台数が公認条件の一部として取り入れられたGT1クラス用マシンとして、ダウアーがポルシェの支援を受け、開発することになったモノだ。
F.A.T.インターナショナルは今は以前と同じ形で存在しているわけではないが、新会社としてイベントを主催し、自動車文化を促進するために復活。プロトンへのスポンサー契約の一環として、この象徴的なカラーリングを復活させた。
プロトンは昨年、WECとIMSAスポーツカー選手権のシーズン後半にウェザーテック社のカラーリングが施された963を投入していたが、今年に向けて双方で装いを改めた。
今年IMSAでは、ウェザーテックに代わってエネルギー会社のマスタング・サンプリングが新パートナーに。2020年から2022年にかけてJDCミラーのキャデラックDPiマシンにも施されていたブラック&ゴールドのカラーリングとなった。
一方WECでは、ウェザーテックに代わってこのF.A.T.インターナショナルがプロトンのWEC参戦チームに名を連ねることになったという格好だ。
プロトンは先日、2024年シーズンのドライバーラインナップを発表。ニール・ジャニとハリー・ティンクネルと新たな契約を結び、そこにポルシェドライバーのジュリアン・アンドロウアーを迎える形となった。
ただティンクネルは今年、IMSAのGTD Proクラスにもフォード陣営で参戦するため、彼がWECにフル参戦するかどうかはまだ不明だ。
F.A.T.インターナショナルがスポンサードするプロトンの963は、カタールで行なわれるWEC公式プロローグ(テスト)で初めてコースデビューを果たすことになる。