
2022年、2023年と圧倒的な強さでF1を支配したレッドブル。マクラーレンをはじめとするライバルたちは皆、グラウンドエフェクトカーを完璧なパッケージとして機能させた設計の秘密は何なのか、その答えを追い求めている。
しかしながら、レッドブルのCTO(最高技術責任者)であるエイドリアン・ニューウェイやテクニカルディレクターのピエール・ワシェは、そのヒントを進んで口にするタイプではない。ただマクラーレンが昨年、レッドブルの元チーフデザイナーであるロブ・マーシャルと契約したことは、彼らがレッドブルの動向を把握する上で大きな追い風となったと言える。
マクラーレンはその他、元フェラーリの車両コンセプト責任者であるデビッド・サンチェスも獲得。今年1月から、技術部門は新たなマネジメント体制を築いている。これによりマクラーレンは、マーシャルやサンチェスに自分たちのマシンコンセプトの何が間違っていて、何を変えるべきかを指摘して欲しいと考えていたのではないだろうか。
仮にそうだとしたら、ある意味その目論見はうまくいっていないのかもしれない。マーシャルもサンチェスも、開発中の2024年マシンMCL38のコンセプトが正しい方向に進んでいると考えているのだ。
しかしながら、マクラーレンはこの事実に失望しているわけではないようだ。チーム代表のアンドレア・ステラは、自分たちが正しい方向に進んでいると認めてくれることは、トップを争うべくさらなる飛躍を目指す上でむしろ大きな後押しになると明言した。
マーシャルとサンチェスの加入がもたらした影響について、ステラは次のように語った。
「間違い無いのは、彼らが非常に多くの知識を持っているということだ。これには驚きはない」
「彼らは素晴らしいチーム、素晴らしいプロジェクトに参加してきた。彼らの持つ知識は、我々の知っていることやノウハウとうまく統合されると思う」
「だからこそ、『君たちのやり方とは違うから、これはすべきではないな』というよりも『君たちのやり方を少し加えれば、こんなことができるな』という感じなんだ。これはある意味新鮮だった」
マクラーレンは2023年シーズンの途中に劇的な進歩を果たしたが、これはグラウンドエフェクトカーに必要な要素を理解したということの証左とも言える。そして今重要なのは、マーシャルとサンチェスから得たインプットを改良に活かすことだと考えているようだ。
ただステラがマーシャルやサンチェスたちからポジティブな影響を受けたのは、その知識だけではない。その他にも重要な付加価値をもたらしてくれたと語った。
「彼らの個人的なアプローチを評価することもあった。それが人々を技術面での魅力的な会話に引き込んだと思う。組織を通して、勢いや流れ、エナジー、多くのアイデアが見えるんだ」
そういった流れや勢いは、2024年のマシンだけでなく、2025年、2026年に向けたプロジェクトの準備にも活かされるとステラは付け加えた。
「我々は2024年マシンを準備しており、それを2025年用に進化させるための土台も築きつつある。そして、テクニカルレギュレーションが大きく変更される2026年に向けたプロジェクトもある」
「つまり我々は多くの仕事をこなす必要があるが、それぞれの技術分野をリードする優秀な人材がいることは、非常に重要なのだ」
「このことは、我々がF1の世界でトップを争うために、これら3つの大きなプロジェクトに取り組む能力が備わっていることを示している」
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