
FIAはテクニカルディレクターであるティム・ゴスが退任することを発表した。
2023年末にはスポーティングディレクターを務めたスティーブ・ニールセンもFIAを後にしており、FIAから重役がふたりも去ることとなった。
ゴスは2026年からF1に導入が予定されている新テクニカルレギュレーションの策定において、FIAのシングルシーター担当主任であるニコラス・トンバジスの直属として働いてきたため、FIAにとっては大きな痛手となる。
トンバジスは、ゴスの離脱について次のように語った。
「ティムのような優秀な人材を組織から失うことになって残念だ。ティムは技術部門で重要な役割を果たし、常に最高の仕事をしてきた」
「我々は、彼のキャリアが今後新たな方向に進むと理解している。別の道を進みたいという彼の意思を支持し、尊重すると共に、彼の今後の活躍を祈っている」
ゴスは1990年から2018年までマクラーレンで働いた後、FIAで職務に就いた。その仕事ぶりはパドック内でも高く評価されている。
「FIAでテクニカルディレクターとして働き、このスポーツの未来を形作る助力ができたことを光栄に思う」とゴスは言う。
「FIAでの任期中に技術部門が成し遂げた数々の功績に、大きな誇りと満足感を感じている」
「この部門には非常に優秀な人材が数多くいて、この組織が今後の課題、特に2026年のレギュレーション導入に向けた技術的な専門知識という点で、確固たる基盤を築いていると信じている。FIAで過ごした日々を懐かしく思いながら旅立つことになる」
またFIAは1月8日、ニールセンの後任としてティム・マリヨンがスポーティングディレクターに就任することを発表した。
マリヨンはこれまでセーフティディレクターを務めており、FIAによると彼は「レースディレクションやジュネーブの遠隔オペレーションセンター(ROC)など、スポーツに関する全ての事柄を監督する」という。なお、レースディレクターは引き続きニールス・ウィティヒが務める。
トンバジスはまた、レースコントロールの効率化に大きな役割を果たしたニールセンに賛辞を送った。
「スティーブは、2023年のF1シーズンを通じてシングルシーター部門において素晴らしい戦力になった。我々の活動を発展させ、前向きに前進する重要な1年の一部となってくれた」とトンバジスは言う。
「もちろん、まだやるべきことは沢山あって、我々は今後数年に渡ってこの強固な基盤を築いていくことになる。スティーブの次なる挑戦が成功することを祈っている」
ニールセンの後任となるマリヨンは、レッドブル、ザウバー、BMWを経て2019年にFIA入りを果たし、セーフティディレクター就任前は研究主任を務めていた。彼はサーキットサイドでのレースコントロールを支援するROCの開発に尽力してきた。
「ティム(マリヨン)は最高レベルのモータースポーツ経験と専門知識を豊富に有している」とトンバジスは言う。
「スポーツ面とレギュレーション面の施行や手続きの厳格化を続ける上で、彼は重要な役割を果たし、我々がレースコントロール業務にもたらした革新をさらに推し進めてくれるだろう」
「ティムは、人工知能や最先端のデータ分析・処理システムなどの新技術を導入し、レースコントロールとROCの間に強力な相乗効果を生み出す上で極めて重要な役割を担ってきた」
「彼はFIAのスポーティングレギュレーションの発展を牽引するだけでなく、この分野の発展を監督し続けることとなる」
スポーティングディレクターに就任したマリヨンは、次のように語った。
「レースディレクションがROCのサポートを受けるようになり、業務には大きな変革がもたらされた。次なるレベルへ引き上げることを楽しみにしている」
「我々はまた、スポーツに関する幅広いレギュレーションの見直しに取り組んでおり、私は今後、こうした取り組みに焦点を絞っていくことを楽しみにしている」
なお2023年末には、10年に渡ってロジスティクスマネージャーを務め、最近は公式スターターも担当したクリスチャン・ブリルが離脱。FIAのF1担当チームから主要メンバーがもうひとりいなくなった。
そのブリルは、FIAと協力関係にある通信会社リーデルで新しい仕事を始めた。