2024.1.4

アルピーヌF1、現最強レッドブルの「真似をしても勝てない」独自開発路線で上位攻略目指す

Sam Bloxham / Motorsport Images

 レッドブルは2023年シーズンに22戦中21勝という強さで他を圧倒し、マックス・フェルスタッペンと共にダブルタイトルを掴んだ。

 レッドブルの2023年マシンであるRB19の強さの秘訣にはライバルチームも注視しているが、デザインをコピーするだけではレッドブルに勝つことはできないとアルピーヌのテクニカルディレクターであるマット・ハーマンは語った。

 アルピーヌは2023年シーズンを2ポジションダウンのコンストラクターズランキング6位で終えており、2024年に向けて大きなステップを踏む必要がある。

 ハーマン曰く、アルピーヌはレッドブルの強みや他のライバルが競争力を高めた要因を十分に理解しているという。しかし、ライバルから得られる知識は開発の方向性を決めるためのインスピレーションにしかならないとして、独自の開発路線を追求することの重要性を強調した。

「我々はよく理解できていると思う」

 ハーマンはRB19についてそう語った。

「彼らがやっていることを理解していると思う。しかしそれは指を鳴らせば一晩で思いつくというモノではない。自分たちの方向性は分かっているが、グリッドにいる他のマシンのことも分かっていると思う」

「他にも素晴らしいマシンがあって、本当に興味深い開発を行なっている。全ては、自分たちがやっていること、彼らがやっていることを理解することだ」

「結局のところ、彼らを真似しているだけでは前に出ることはできない。彼らからインスピレーションを受けつつも、自分たちのやり方を貫くことが必要なのだと思う」

 また、2024年マシンはこれまで以上に重要な1台となる。というのも2026年からは新たなテクニカルレギュレーションが導入される予定となっており、各チームは2025年からその節目に向かってリソースを割いて開発を行なうため、2024年マシンは2025年マシンの基礎になるのだ。

 各チームは2025年の初めまで2026年シーズンへ向けた空力テストを開始できないが、メカニカルな部分には制約がない。各チームは順位のシャッフルが起こり得る2026年に焦点を当てた開発戦略を採っている。

「重要なのは周囲にあるマシンの先を見ることだと思う」とハーマンは言う。

「今、みんなが目にしているようなマシンを投入したとしても、2025年になる頃には、かなり時代遅れになっているはずだ」

「見たモノからインスピレーションを得ることは本当に重要だ。しかし、我々は2年先を見据える必要があるのだ」

 そしてハーマンは、アルピーヌが2023年シーズンに投入したA523の基礎的な部分で、チームが計画していたシーズン中の開発を進めることができなかったと認めた。その代わりに、チームは2024年シーズンに向けて開発をシフトした。

「シャシーと、サスペンションキャリアやメインケースと呼ばれるモノで、ボリュームの問題がいくつかあった」とハーマンは言う。

「他のマシンが持っている知的財産という点だけでなく、我々自身のアイデアや開発にも少し制約があった」

「シーズン後半にはフロアのアップデートが予定されていたが、最終的にはやらないことにして、そのパフォーマンスを2024年のマシンに反映させることにした。ただ、そのパフォーマンスをフルに引き出すには、もう少しボリュームが必要で、あのマシンにはそれが無かった」

 なおハーマンは、A523からはさらにパフォーマンスを引き出すことができたはずだと明かした。

「我々のマシンには本当にいいところがいくつかあると思う。そういうことに関しては謙虚でいたいけどね」

 ハーマンはそう語る。

「我々が望んでいたところにはいないというのは分かっているし、自分たちが得意に思っていることではなく、もっと改善する必要のあることについて話したい」

「自分たちが正直もっと上手くできたかもしれないと思っていることを誇示するよりも、もっと上手くやる必要があることに集中したいのだ!」


出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/alpine-you-wont-beat-red-bull-f1-team-by-copying-it/10562153/
この記事を書いた人 Adam Cooper

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