
F1の2023年シーズンは、マクラーレンが中盤戦のオーストリアGPからの大幅なアップデートを皮切りに急激にパフォーマンスを上げ、そこからは表彰台の常連に。特にランド・ノリスは7月のイギリスGP以降の13レースで2位を6回記録する活躍を見せた。オーストリアまでの8レースでわずか12ポイントしか獲得できていなかったノリスが、以降の14レースで193ポイントを稼いだのだ。
マクラーレンが後半戦に向けてのアップグレードで戦闘力を取り戻した例で言うと、2009年シーズンにも似たようなケースがあった。
前年にルイス・ハミルトンをチャンピオンに導いたマクラーレンだったが、2009年シーズンは大変更されたレギュレーションに合わせることができず、フェラーリなどと共に大失速することになった。
この年はフロントウイングが幅広で低くなり、リヤウイングは狭く高くなった。さらにマシンの各所に取り付けられていた細かな空力パーツの使用が禁止。加えてスリックタイヤが復活し、エネルギー回生システム、通称”KERS”が投入されることとなった。
このKERSは使用が義務付けられていたわけではないが、マクラーレンやフェラーリといったトップチームは、搭載することを決断。しかし特にバッテリーの重量が重すぎたことで、逆に足枷となってしまった。
逆にシーズン前半を席巻したのは、前年までのホンダF1を引き継いで誕生したブラウンGP。エンジンはマクラーレンと同じメルセデス製だったが、KERS非搭載、そしてホンダ時代に極秘裏に開発されていたマルチディフューザーを最大限に活用し、ジェンソン・バトンが勝利を積み重ねた。また、レッドブルがブラウンGPに次ぐ2番手で、トップチームの仲間入りを果たしたのもこの年だった。
マクラーレンはシーズン序盤は予選Q1で敗退することも多く、ハミルトンをもってしても前半9レースを終えて入賞4回、最高位は4位という惨状。しかし、シーズン途中からダブルディフューザーを投入するなどアップデートを続け、後半戦には大きく戦闘力を上げた。
ハミルトンは第10戦ハンガリーGPで優勝を飾ると、第11戦ヨーロッパGPで2位、第14戦シンガポールGPで2勝目を挙げ、最終的にランキング5位でシーズンを終えた。ちなみに後半の8レースで稼いだポイントは全ドライバー中トップ。同年のチャンピオンであるブラウンGPのジェンソン・バトンは前半戦で6勝を挙げるも、ハミルトンとは逆で後半戦の息切れが顕著であった。
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