
2023年シーズンは終始、まさにレッドブルによる独走だった。チームとしては22戦中21勝をマークし、うち19勝をマックス・フェルスタッペンが挙げた。グランプリを制するドライバー・チームが予想しやすいことから、現在の状況が続けば、盛り上がりを見せていたF1の熱が冷めてしまうかもしれないという懸念の声も聞こえてくる。
しかし、より良い優勝争いやタイトル争いを提供し、ファンのF1離れを食い止めるためには、レッドブルのライバルチームが「より良い仕事をする必要がある」と打倒レッドブルの一翼を担うメルセデスでチーム代表を務めるトト・ウルフは語った。
2023年シーズン序盤はアストンマーチンがレッドブルを追う2番手チームの最有力だったが、レースを重ねるごとにメルセデス、フェラーリ、そしてマクラーレンがその争いに加わった。
2番手チーム以下は混戦模様となったが、レッドブルはオランダGP以降大きなアップデートを入れることなく独走逃げ切り。早々にRB19の開発を切り上げ、2024年の“RB20”へと焦点を切り替えた。
レッドブルがライバル勢よりも早い段階から2024年に向けて準備を行なっていることから、支配は続くとの見方が強く、メルセデスのルイス・ハミルトンは「彼らは8月以来マシンに触れていない。だから来年の彼らの位置はだいたい予想がつくよ……」と来季に向けて戦々恐々とした様子だった。
また、F1はTV視聴者数が落ち込んだことを受けて、ソーシャルメディアでの取り組みを強化したという見方もある上、各グランプリのプロモーターは2023年に見られたレッドブルの支配によって2024年のチケット売り上げが伸び悩む可能性があると指摘している。
ウルフ代表は、レッドブルとフェルスタッペンの圧倒的な強さが、F1ファンの興味を削ぐレベルには至っていないとしながらも、F1を盛り上げるためにはライバルがレッドブルに接近し健全な競争を展開する必要があると語った。
「我々が見ている数字は好調だし、ソーシャルで成長している」とウルフ代表は言う。
「しかし実のところ、全てはスペクタクル次第だ。もし壮大さがなかったら、ファンは我々を追いかけなくなっていくだろう」
「ただ、このスポーツで私が常に言っているのは、正直さが好きだということだ」
「スペクタクルはスポーツについて回るモノで、これ(F1)は実力主義の世界だ。最高の仕事をしたモノが勝つのだ……」
「だからレッドブル・レーシングに抵抗するため、我々やフェラーリ、そして他全てのチームがもっと良い仕事をしなければならないのだ」
「もちろん、ある程度のラグが生じて『どうせ結果は分かっている』と言われる可能性はある。それでも、我々はより良い仕事をしなくてはいけないのだ」