
スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイションの坂東正明代表がNISMO FESTIVALに来場。トークショーでサステナブルなモータースポーツに向けた取り組みについて説明した。
坂東代表は、NISMO FESTIVAL初来場。2万7000人のファンが集まったその熱気に、日産のファンは星野一義譲りの熱さを持っていると坂東代表は語った。
「シーズンオフなのになんでこんなにファンがいるんだろうというぐらい集まるので、本当に日産のファンというのは熱い心を持っているんだなと思います」
「まあ一義さんっていうのがちょっと熱すぎるのでね笑」
今回のNISMO FESTIVALでは、フォーミュラEを中心にサステナブル・モータースポーツをフィーチャーした展示・デモランが行なわれた。
そして電気自動車のフォーミュラEと並んで、今季からカーボンニュートラル燃料(CNF)を使用しているスーパーGTのGT500車両もモータースポーツの、そして自動車の未来に取り組んでいると言える。
「我々はグリーンプロジェクト2030として、2030年までにどれだけのことができるかということで、CO2の50%削減という目標の1年目として今年からカーボンニュートラル燃料を使っています」
そう坂東代表は語った。
「廃材、木のクズとかそういうもののチップから作った燃料になります。化石燃料とは全然違うものから作っています」
今回のNISMO FESTIVALでは、デモランでフォーミュラEとZ GT500が共演したが、甲高いモーター音と風切り音を伴いながらホームストレートを駆け抜けたフォーミュラEに対し、Z GT500はもちろん鼓膜を激しく揺さぶるエンジンサウンドを響かせていた。
坂東代表は、この音も非常に重要な要素だと考えており、コロナ禍で音の重要性を改めて実感したという。
「コロナの中で、無観客レースをやったんですね。歓声やお客さんの声だったりという音がないとすごく寂しかった。スタンドのお客さんと音がないと、というふうに思い、その音を継続してやれる環境を作っていかないといけないと考えています」
「継続して環境に対応していかなければいけないっていうのは皆さん分かっていることだと思うんですが、じゃあ何ができるんだと考え、できることを確実に一歩ずつ、2030年に向けてみんなが努力してやれば、モータースポーツの業界に対して『多少なりとも音を出してもよくないか』と自分は思っています」
そして、今年のCNF導入は目標に向けた第一歩。坂東代表は水と空気から作るeフューエルを国産で作ることが将来的な狙いだと語った。
「今の燃料だけでCO2削減50%の目標を達成できるとは思っていません。一旦ここをスタートとして、各メーカーにベンチテストを散々かけていただきました。文句を言われながらね(笑)」
「この燃料は海外で作っています。それを船で運んできている。それ(輸送中)でCO2を排出するわけですから、50%削減にはならないと思います」
「最終的な目標は水素と二酸化炭素からできるeフューエルと呼ばれる燃料を国産で作り、走らせるということです」
今スーパーGTで使われているCNFは揮発性が従来の燃料よりも低く、潤滑油がCNFで希釈されてしまったり、ススが出てしまったり、油温を高くする必要があったりと、ガソリンと比べて特性が違う部分がある。そのため、より多様なマシンが走るGT300クラスにはまだCNFが投入できていない状態だ。
しかし各メーカーが技術開発を進め、GTAを中心として足並みを揃えて、市販車へのフィードバックを目指している。まさにスーパーGTは、CNFの”走る実験室”となっている。
手法こそ全く異なるものの、共に”サステナブル”を追求するフォーミュラEとスーパーGTが共演した今回のNISMO FESTIVAL。この2台の走る道が未来につながっている。