
フェラーリはF1最終戦アブダビGPでシャルル・ルクレールが2位に入ったものの、チームメイトのカルロス・サインツJr.は無得点に終わった。この結果、メルセデスに4ポイント及ばず、コンストラクターズランキング3位でシーズンを終えることになった。
フェラーリは今回のレースで、ルクレールには正攻法で戦わせた一方、サインツJr.にはギャンブル的な戦略を採らせた。それにより入賞には届かなかったわけだが、フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスール代表は、サインツJr.の戦略がうまくいかなかったことで、ランキング2位を失ったわけではないと強調した。
まさかの格好で予選Q1敗退となり、16番グリッドからスタートしたサインツJr.は、まずハードタイヤを履いた。しかしそのペースは優れず、予定よりも早めにピットストップさせ、再びハードタイヤを履かせた。
F1では決勝レース中に少なくとも2種類のタイヤを使うことが義務付けられており、この時点でサインツJr.が2ストップ作戦であることが確定した。そしてその後フェラーリは、セーフティカーが出動することを期待し、サインツJr.をハードタイヤのままレース終盤まで走らせ続けた。
ただアブダビGPは実に平穏なレースとなり、1度のセーフティカーも出動しなかった。結局残り2周というところでサインツJr.をピットに呼び戻し、ソフトタイヤを履かせてコースに戻した。しかし当時のポジションは15番手であり、ポイント獲得は望むべくもなかった。
結局チームは、エンジンにトラブルがあるとして翌周再びサインツJr.をピットに呼び込み、リタイアさせることを決断した。
レース後にバスール代表は、サインツJr.が入賞に届かなかったのは戦略のせいではなく、FP2での大クラッシュの後、ペースが上がらなかったことが原因だと主張した。
「20周目にピットストップしなければならないなら、2セット目のハードタイヤを履く以外に選択肢はなかった。ミディアムを履いたなら、30周目に再びピットインしなければならないからね」
「そして計画では……それが当初からの計画だったかどうかは分からないが、選択肢は、全力を尽くして、セーフティカーか赤旗が出るのを期待することだった」
「問題は戦略にあったわけではなく、ペースにあったのだ。今日の我々にはペースがなかった。今回については、どんな戦略でも悪かった」
サインツJr.は当初予定していた戦略について、次のように語った。
「35周目くらいにピットストップする予定だった。他のドライバーとは逆だ」
「他のドライバーたちは15〜20周くらいをミディアムタイヤに走り、その後ハードタイヤで40周くらい走った。目標はレースの一部を、ハードタイヤを履いてクリーンエアの中で走って40周にたどり着くことで、足りない部分を補うことにあった」
なお実際には多くのドライバーが2ストップで走った。1ストップで走り切ったのは、角田裕毅(アルファタウリ)など3人のみだった。
バスール代表は、ハードタイヤではなくミディアムタイヤを履いてスタートしていたとしても、結果に違いはなかったと主張した。
「後からどんなことを言うこともできるけど、私はそうは思わない」
「問題はペースにあった。ミディアムタイヤやハードタイヤに問題があったわけではない。彼はシャルルと同じタイヤを履いてコース上にいた瞬間もあった。我々には問題があったから、それを理解する必要がある。戦略に問題があったわけではない」
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