
ラスベガスGPのCEOであるレニー・ウィルムと、F1のCEOであるステファノ・ドメニカリが連名で声明を発表。ラスベガスGPの初日FP2が無観客で行なわれたことについて状況の説明を行ない、理解を求めた。
大きな注目を集め、ついに初開催を迎えることになったF1ラスベガスGP。しかし同グランプリは初日から大きく躓くことになった。フリー走行開始まもなく、コース上にあった給水バルブの金属製の蓋が外れ、フェラーリのカルロス・サインツJr.とアルピーヌのエステバン・オコンのマシンは直撃を受けて大ダメージを負い、モノコックを交換せざるを得なくなった。
この出来事により、FP1は10分以下の走行で終了。FP2は当初現地時間の24時から行なわれる予定となっていたが、開始時間が2時間半遅れ、さらにセッション時間を90分に拡大して行なわれた。つまり深夜2時半から、ラスベガスの市内をF1マシンが駆け抜けることになったわけだ。
しかし走行時間が遅い時間帯になったことから、初日からスタンドに詰めかけていた観客は観戦することが許されず、グランドスタンドを含む全てのファンエリアから退去することが求められた。そしてFP2は、コロナ禍を思わせる無観客で行なわれた。
この件についてFIAは、現地時間の17日16時前に声明を発表。ラスベガスGPのウィルムCEOとF1のドメニカリCEOが、連名で次のように語った。
「F1における我々の最優先事項は、ドライバー、従業員、ファンの皆様の安全と安心だ。F1イベントの監督責任は、このスポーツの商業権所有者としてのF1、統制機関としてのFIA、そして地元のプロモーター(今回の場合はラスベガスGP)にある。レースに慣れていない方に、これを理解していただくのが重要だ」
「昨夜、最初のフリー走行セッション開始から約9分後、ラスベガス・ブールバード(ラスベガス・ストリップ)のストレートで給水バルブのカバーが破損した。その時、サーキットでの活動の安全な運営を行なうことについて責任を負うFIAは、壊れた給水バルブのカバーを確認し、コースを検査するためにセッションを中止した。このようなことは、世界中の他のレース、他のコースでも時折起きていることである」
「コース全体の給水バルブのカバーを全て取り外し、砂とアスファルトで埋めるという予防措置が講じられた。この問題の特定から修復までのプロセスに、約5時間を要した。このような形で修復するという決定は、ドライバー、コースサイドのマーシャルやオフィシャル、そしてファンの皆さんの安全が最優先事項であるため、十分な注意を払って行なわれたモノである。状況を解決するために、迅速に作業してくれた請負業者に感謝する」
「その結果、フリー走行1回目は早くに終了し、太平洋標準時の午前2時半から90分のフリー走行2回目を行なった」
「フリー走行2回目を太平洋標準時の午前2時半から行なうという決定は、残りのイベントの安全性を確保するために、全ての関係者に支持された」
「セッションを成功させるために献身的な努力をしてくれたドライバー、メカニック、そして全てのチームに感謝したいと思う」
声明ではそう状況を説明している。そして、観戦機会を奪われることになった観客に対して、次のように語った。
「ではファンの皆さんの体験についての話に移ろう」
「2回目のフリー走行の開始が太平洋標準時の午前0時から午前2時半に遅れたことにより、我々の従業員とファンにリスクが生じた」
「そのため我々は、ラスベガスGPの管轄下にあるファンエリアを太平洋標準時の午前1時半に閉鎖し、ファンの皆さんに帰宅していただく決定を下した」
「その理由をご説明させていただく」
「まず最初に我々は、長時間勤務し、今後3日間勤務していただく公安および治安当局の方々のことを心配していた。そしてクラーク郡の皆さんに感謝している」
「警察、公共事業局、その他の公安関係の皆さんには、イベント中、そして今朝(19日金曜日)早くにコースを解放した際にも、素晴らしいサポートをしていただいた」
「第二に、ファンの皆さんをホテルまで送り届ける責任を担う、交通機関の従業員の心配をした。連邦法により、バスを合法的かつ安全に運転できる時間は制限されている」
「最後に、我々のホスピタリティエリアのスタッフも、今後数日間、ファンの皆様が最適な体験ができるよう、ゲストエリアの清掃や備品の補充を行なわなければいけなかった」
「今回のことが、非常に残念なことであったと、我々も承知している。この説明によって、全ての参加者の安全とセキュリティ、レースの週末全体にわたるファンの体験など、多くのバランスを取る必要があったことを、ファンの皆さんにご理解いただけることを願っている」
「我々も、コンサートやスポーツの試合、他のF1などのイベントに参加したことがあり、その中には天候や技術的な問題などの理由で中止になったモノもあった。それは実際に起こりうるモノであり、それをご理解いただけることを願っている」
「では、今夜はこの問題にどう対処するのか?」
「我々はレースのスケジュールが延長された場合でも機能し、ファンに可能な限り最高の体験をご提供できるよう、セキュリティ、輸送、ホスピタリティに関わる人員配置の計画を調整するために、一晩中努力してきた」
「我々は今日のレースに興奮しており、チーム全員とファンの皆さんのご支援に感謝している。このイベントが素晴らしいモノになることを確信している。それでは、レースに戻りましょう」
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