
MotoGPはすでに今シーズンも残すところ2戦と終盤だが、この時期になっても2024年の陣容が固まっていないのが、レプソル・ホンダだ。マルク・マルケスの離脱によって空いたシートの後任が決まらない中、ルカ・マリーニが有力候補として浮上しているが、彼がホンダに移籍するとしたら、そんな“賭け”をする理由はなんなのだろうか。
ホンダはマルケスが2020年に大怪我を負ったことをきっかけに、マシン開発が迷走。2023年も大苦戦が続いており、マルケスはついに今シーズン限りでホンダを離れることを決めた。
離脱が発表されたのは10月であり、ホンダがマルケスの後任ライダーの選定にかけられる時間はあまり多くない。当初はミゲル・オリベイラ(RNF)、そしてファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ)らが候補に挙がっていたが、第18戦マレーシアGP時点ではVR46所属のマリーニが最も有力な候補だとみなされている。
しかしマリーニは現在最も優れたマシンとされるドゥカティ・デスモセディチGPを駆り、まずまずの成績を残している。そんな状態から苦戦するホンダに移籍するのか疑問視する向きがあるのも当然だろう。
ただマリーニとしては、プラマックで最新型のマシンに乗るチャンスを蹴ってでもVR46の環境を維持することを選んだチームメイトのマルコ・ベッツェッキと同じほどには、今の環境を重視していないかもしれない。
マリーニがホンダ加入を決断する理由として、答えのひとつになりそうなのが、偉大な兄の名前の下でのキャリアから一歩踏み出すことにあると考えられる。実際、VR46の関係者はマリーニが自身の力を証明し、異父兄であるバレンティーノ・ロッシという偉大な存在のおかげで自分がMotoGPにいられるのではないことを示したがっていると語っている。
「ルカは自分の道を進んでいる。彼には大志があって、常に目標はファクトリーチームでファクトリーバイクを手にすることだと主張してきた」
「そして彼は今、それがドゥカティ内で手に届かないことを理解している」
「彼は自分の得るモノが、彼の兄弟が誰かということではなく、彼自身がそれに値するのだということを、強く証明したがっている」
マリーニがVR46アカデミーとの間に一定の距離を置いているということは、チームメイトのベッツェッキの発言からも読み取れる。
「チームメイトに“マロ”(マリーニ)がいなかったらなんて、想像したくもない」とベッツェッキ。
「僕らはずっと互いのことを知っているんだ。今はトレーニングを一緒にしていなくともね。というのも彼は全ての準備を変えて、少し距離を置いているんだ」
なお土壇場にきて何かが起こらなければ、マリーニとホンダは今週末に行なわれるカタールGPで契約を締結する可能性がある。最終戦バレンシアGP後の11月28日には、恒例のポストシーズンテストがバレンシアで行なわれる予定で、ホンダがマリーニをここでデビューさせたいと考えているならば、時間はさほど残されていないといえる。
マルケスのホンダ離脱から始まったこの話題にも、近く決着が付けられるだろう。
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