
2023年のスーパーGT・GT300クラスでシリーズタイトルを獲得したのは、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTを走らせる埼玉トヨペット Green Braveだった。2020年のGRスープラ導入以降、上位の常連だった彼らだが、今季は後半戦の2連勝を含む4度の表彰台を獲得するなどシーズンを通して安定した強さを見せ、悲願の初タイトルを手にした。
そんな埼玉トヨペット Green Braveだが、このチームは「埼玉トヨペットがメインスポンサーを務めるレーシングチーム」ではない。トヨタ系ディーラーである埼玉トヨペット株式会社のモータースポーツ室の社員が中心となって、レース運営全般や車両メンテナンスを行なう、同社の自社チームなのだ。チームの公式サイトによると、店舗で勤務するサービスエンジニアやアシスタントスタッフなど、年間でのべ100名以上の社員がレースに参加しているという。
ではなぜ、自動車販売店である埼玉トヨペットが、単なるスポンサーとしてではなく、社内活動としてレースに参戦しているのか? その意義について青柳浩監督に聞いた。
チャンピオン記者会見の中でまず青柳監督が挙げたのは、人材育成。スーパーGTという国内最高峰の舞台では、高いクオリティの技術力が求められる。そこで自社のメカニックやエンジニアを鍛えることは大きな意味があるだろう。
そして青柳監督は、普段なかなか日の目を見ることのないサービススタッフにもスポットライトを当てることで、レースメカニックや自動車整備士に憧れる若者たちを増やし、ひいてはモータースポーツを盛り上げることにも貢献したいと考えている。
「我々がモータースポーツに参戦する目的は、人材育成をするということです」
「ディーラーの販売店活動の中で主役になるのは営業で、サービスは日の目を見ないと言いますか、裏方の仕事が多いです。クルマを売ったり成績が上がれば営業がフォーカスされる中で、サービスはなかなか表彰されません」
「モータースポーツはドライバーさんにクルマを速く走らせてもらうことももちろんですが、しっかり走れるクルマを作るメカニックとの両輪になっていて、メカニックの活躍にも光を当てられるという意味で、すごく効果のある活動だと思っています」
「世の中の子供たち、若者たちが我々の活動をきっかけにして、レースのメカニックになりたい、ディーラーの整備士になりたいと憧れてもらうためには、スーパーGTという大きな舞台の中でフォーカスされるのは非常に効果があると思っています」
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