2023.11.1

ラリーはいいぞ……日本人WRCドライバー勝田貴元が語る競技の魅力「みなさんのお買い物道をラリーカーが走るかも」

Tomasz Kaliński

 世界ラリー選手権(WRC)の最終戦ラリージャパン2023の開幕がすぐそこまで迫っている。

 ラリーは封鎖された公道に設けられたステージを猛スピードで駆け抜け、タイムを競うモータースポーツの一種。その世界最高峰であるWRCは、昨年12年ぶりに日本の地にカムバックを果たし、愛知県と岐阜県の公道を舞台にラリーカーが猛スピードで駆け抜けた。

 2023年も11月16日(木)から11月19日(日)にかけて、再び愛知県と岐阜県を舞台にラリージャパンが開催される。

 日本からのラリーへの注目度が高まる中で、これからこの競技を知る人も少なくないはず。そこで、TOYOTA GAZOO Racingから日本人として唯一WRCにフル参戦している勝田貴元に、人々を“沼らせる”ラリーの魅力や注目すべき点を訊いてみた。

「ラリーの魅力は、普段の生活のすぐ近くにあるモータースポーツというところにあると思います」

 勝田はそう語る。

「例えば、サーキットレースでは普段使っている道を使う訳ではありません。そちらにはラリーとは違った魅力や迫力がありますが、ラリーの場合は公道が舞台となる競技でもあるので、最も身近なモータースポーツだと僕は思います」

「選手との距離感もすごく近くて、移動区間中に選手がタイヤ交換をしているところを間近で見られるかもしれません。他のモータースポーツだと、そういった光景を間近で見ることができる機会はなかなか少ないと思います」

「またモータースポーツに限らず、競技によってはファンと選手の距離がすごく離れている部分もあると思いますが、ラリーは実際にみなさんが普通に使っている道をラリーカーが走っていくという競技性があります」

「ステージでは封鎖された公道を全開で走っていきますが、ステージ間の移動区間であるリエゾンでは普通車と同じように交通ルールを守って走っています。一般の方と並んで走ることもあります」

「みなさんがお買い物に行く時に使っているような道が、もしかしたらステージになっているかもしれません。当たり前の日常の場所が非現実的になるという、また違った雰囲気を味わえる競技だと思います」

「そこをより身近に感じていただきつつ、ものすごいスピードで(ラリーカーが)走る迫力も体感していただきたいです。そのギャップも魅力だと思うので、間近で見て、肌で感じて、ラリーにハマっていただけたらと思っています」

 そして、様々な要素が絡むスポーツが故に、どこを見るべきか分からないというのも“モータースポーツあるある”かもれない。まずはラリーのどこに注目してほしいか? そう勝田に尋ねると、彼は次のように答えた。

「ラリーはドライバーによってドライビングスタイルや走らせ方が全く違います。ラリーを知らない方が見ても『このドライバーはこのコーナーをこんなに滑らせていくんだ』『このドライバーは全然滑らせずに走っていくんだ』と、走らせ方の違いがなんとなく分かると思います」

「ドライビングスタイルがそれぞれ違っても、ステージが終わってみると、タイム差がほとんど無かったり、同じようなタイムだったり……。そこがラリーの面白さでもあるので、是非そこに注目してほしいです」

「もちろんドライバーが走っているところも注目してほしいですが、そこだけではなくメカニックが作業をしているサービスパークも迫力がありますし、競技の中ですごく重要なポイントのひとつです」

「(クルマが壊れていたら)40〜45分という制限時間の中で修理したり、ギヤボックスを載せ替えたり、セッティングを変えたり……全部その制限時間以内でやるというのもこの競技の面白さでもあります」

「メカニックがどういう速さで作業をして、どのような連携でやっているのかというところを見るのも、ラリーを知らない方にとっては沢山の驚きがあると思います。なので、そこも是非注目してほしいポイントだと思います」

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出典: https://jp.motorsport.com/wrc/news/rwc-katsuta-talks-about-the-magic-of-rallying-for-the-beginners/10541094/
この記事を書いた人 滑川 寛

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