
F1メキシコシティGPは、昨年一部の熱狂的なファンによるパドックでのリスペクトを欠いた行動が問題となったことを受けて、今年は立ち入り人数に制限が設けられることとなった。
母国のヒーローとして最も注目を集めるドライバーのひとりであるレッドブルのセルジオ・ペレスは、これによって「いいバランス」が生まれるはずだと考えている。
2022年大会では、パドックへ立ち入ることができる“パドックパス”を得たファンの一部の問題行動が顕在化。パドック内を移動するドライバーが群衆に取り囲まれ、押されたり引っ張られたりする状況に陥っていた。
そのため地元プロモーターがF1と協力し、パドック内の人数を減らし、ドライバーがより自由にレースへ打ち込めるようにすることを約束した。
この取り組みはドライバーたちから歓迎されており、パドックでのファンとドライバー/チームの距離感を見つめ直す必要性があることを認めている。
「メキシコのファンは本当に熱狂的だから、僕らは感謝しないといけないと思う」
motorsport.comの取材に応じたペレスは、そう語った。
「しかし同時に、ドライバーたちが快適にパドックを移動できるようにする必要がある。あれがいいバランスになるはずだ」
「僕の国でみんなに素晴らしい時間を過ごしてもらいたい。昨年は限界を超えてしまっていたが、今年はそれが改善されることを期待している。全体として、世界中のドライバーにとって最高の歓迎だと思うからね」
F1ドライバー協会であるGPDAでディレクターを務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ペレス同様に昨年のメキシコシティGPでは限度を超えていたと認めるものの、パドックが賑わっているのを見るのは好きだと言う。
「僕としては、多ければ多いほど良い」とラッセルは言う。
「でも、結局僕らはみんな、仕事をするためにここにいるんだ」
「昨年は、エンジニアオフィスからガレージまでの間で、みんなが僕らに飛びついたり、カメラを突きつけられたりすることなく移動するのも大変だった」
「ちょっと奇妙な環境だったよ。パドックがごった返していても、僕らが行くべき場所へ行くための道がきちんと確保されている限りは構わないよ」
ハースF1のギュンター・シュタイナー代表は、ファンへの恩返しの重要性を強調しつつ、より静かなパドックとなることを歓迎している。
「最終的には、ファンへ恩返しする必要がある。彼らのおかげだからね」とシュタイナー代表は言う。
「いつも言っている通り、ファンがいなければ我々はここにいない。モータースポーツではそれ(ファン獲得)に取り組んでも上手くいかないことがある。長続きしないんだ」
「去年のアプローチは少し……アグレッシブとは言わないが、情熱的だったと思う。特に大物ドライバーとなると、突然20人もの人が飛びついてきて、みんな何かを欲しがるんだ」
「ドライバーにとっては、大勢の人が自分に近づいてくるのは怖いことだと思う。何かを頼むのは構わないが、行き過ぎないようにというメッセージが伝わると良いね」
一方でウイリアムズのアレクサンダー・アルボンは、いくつかのグランプリではクルマでサーキットを離れる際にトラブルが起きそうになると明かした。
「難しい問題だね」
パドックの混雑についてアルボンはそう語った。
「僕らのスポーツをできるだけアクセスしやすいモノにする必要があると思うし、パドックに人がいることに大きな問題があるとは思わない。ただ明らかに、そこには限度があるというのは分かっている」
「正直なところ、パドックはそれほど悪くないと思う。僕としては、パドックから出る時の方が状況は悪い」
「パドックから出る時、時々足を轢きそうになるんだ。みんな(クルマの)窓のすぐ近くまで近寄ってくるからね」
「そういうのは少し際どいことかもしれない。パドックについてはあまり心配していないよ」
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