2023.10.22

F1メカ解説|2023年シーズンも終盤残り5戦……しかし来季見据え、各チーム開発の手を緩めず:アメリカGPピットレーン直送便

Giorgio Piola

 今シーズンのF1は今回のアメリカGPを入れて残り5戦。しかし多くのチームはまだまだ開発の手を緩めず、アップデートを投入してきている。サーキット・オブ・ジ・アメリカズのピットレーンで撮影されたマシンのディテール写真を紹介する。

■ハースVF-23のノーズ

ハースF1のVF-23のノーズ。線端部分はカーボン地が剥き出しとなっているが、これは内部構造が露出しているためだ。この部分にはバニティパネルが取り付けられ、マシンに装着されることとなる。このバニティパネルを変更することで、ノーズの形状をクラッシュテストを経ずに変えることができるのだ。



■レッドブルRB19のフロントブレーキ

Giorgio Piola


 レッドブルRB19の右フロントブレーキのアッセンブリー。ドラムカバーとキャリバーカバーが取り外された状態だ。下部に見える楕円形の銀色のパーツがブレーキキャリパー。その表面には、無数の棘のような突起が存在している。これによりキャリパーの表面積を広げることで、冷却性能を引き上げようとしている。

■アルピーヌA523のリヤエンド

Giorgio Piola


 アルピーヌA523のリヤエンド。リヤウイングアッセンブリーの下部に取り付けられているビームウイングは2枚構成。そのふたつはそれぞれ形状も角度も大きく異なっている。上方のビームウイングは直線的で、車体中心部は排気管を避けるように中央で下方向に曲げられている。

 また下部のビームウインウイングは、左右それぞれが中央で前後長が長くなる形状となっている。これらにより、ディフューザーの効果をサポートしている。また翼端板の下部外側に設けられた膨らみ(スウェッジライン)が、このビームウイングやディフューザーの角度に揃えられているのがよく分かる。

ハースVF-23

Giorgio Piola


 今週末のアメリカGPに登場した、アップデート版のハースVF-23。特にサイドポンツーンが大きく変更された。現在のトレンドとなっているダウンウォッシュスタイルをようやく取り入れ、さらにアンダーカットが急激に。さらにインレットの部分も、下部が前方に伸びる受け口のような格好になった。

 以前のVF-23は、サイドポンツーンの上面に、バスタブと呼ばれる窪みがあった。しかしこのバスタブは今回アップデートによって消滅した。このバスタブ内に冷却ルーバーが存在していたが、今回のアップデートによりこのルーバーはエンジンカウルに移動。このエンジンカウル自体の形状も変更されている。

■ハースVF-23のサイドポンツーン

Giorgio Piola


 ハースVF-23のサイドポンツーン上面。後方へ向かう気流をガイドするため、ショルダー部分にフェンスが設けられている。これも今シーズンのトレンド。これでサイドポンツーンの側方に気流がこぼれ落ちるのを防いでいる。

■アルファタウリAT04のエッジウイング



 アップデートされたアルファタウリAT04のエッジウイングの拡大図。側方上方に向けて羽上げられたエッジウイングには、下に向けて3本の突起が取り付けられている。これにより、この部分の気流を制御している。

■メルセデスW14のエッジウイング

Giorgio Piola


 メルセデスも今回のアメリカGPにアップデート版のフロアを投入。この新しいフロアは、フェンスやフロア前縁の高さ、アンダーフロアの容積などを変更。エッジウイングも変えている。

 メルセデスW14のエッジウイング前部の反り上がった部分を拡大。内部を分割する突起にも変更が加えられている。これが期待通りに機能しているかどうかを確認すべく、紐が取り付けられているのにも注目である。
出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/united-states-gp-f1-tech-images-from-the-pitlane-explained/10535778/
この記事を書いた人 Matt Somerfield

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