
F1は現在アンドレッティ・グローバルによる新規参入申請を受けている。既存チームが否定的な姿勢を示している中、ハースF1のギュンター・シュタイナー代表は新型コロナウイルスのパンデミック時の危機を、反対している理由のひとつに挙げた。
アンドレッティはFIAに対するF1の新規参入申請が許可され、現在はFOM(フィーミュラ・ワン・マネジメント)との商業契約の締結に向けた交渉フェーズに移っている。ただ11チーム目の登場に対する風当たりは強い。既存チーム側も分配金の減少などを理由に、冷淡な反応を示している。
シュタイナー代表は現在のF1の好調な状況もあり、分配金の減少が劇的な影響を与えることになるとまでは考えてはいない。ただ、新型コロナウイルスパンデミック時にいくつものチームが撤退の危機に直面していた教訓から学ぶ必要があると語った。ハースも当時”崖っぷち”に立たされていたチームのひとつだ。
「現在の状況では、我々は安定している。だが何億ドルもの利益を上げているわけではないんだ」とシュタイナー代表は言う。
「ただ依然として我々は予算上限や様々なモノのため、資金をまとめ上げようとしているんだ」
「2020年を振り返ってみたいと思う。当時はパンデミックに打撃を受け、ビデオ会議の中で4つのチームが『来年も参戦しているのか? いないのか?』なんて言われていたのを今も覚えている」
「我々は皆、なんとか生き残ろうともがいていた、多くの人々、多くのチームオーナーが生き残るために資金を投じていた。そして今のF1があるんだ。そのことには価値があると思う」
「多くのチームは、なぜF1が好調である今、誰かのために利益を薄めなくてはならないのかと思っているだろう」
「3年後、4年後に何が起きているかは誰にも分からないんだ。さっきも言ったが、我々が存続問題を抱えていたのは、2020年の話だ。なぜ今、弱体化させる必要があるんだ?」
「また何かが起きた場合、我々はできる限り強くあることが求められる。ここにいる10チームは、困難な時期を経験してきたんだ」
なおシュタイナー代表はアンドレッティのF1参戦については、グリッド全体に恩恵がある証拠がある場合にのみ認められるべきだという、従来の主張を繰り返している。
アンドレッティがF1に新たなスポンサーの関心をもたらす可能性について尋ねられたシュタイナー代表はこう答えた。
「その可能性はあるし、あってほしいことやできることなど、可能性はたくさんある。そして彼らが我々に受け入れられる何かをもたらせるなら、問題はない」
またシュタイナー代表は、11チーム目のエントリーを受け入れるには今が適切な時期ではないとパドック内で感じているのは自分ひとりではないとも語っている。
「私ではなく、FOMが考える必要がある。彼らが全体像を見ているんだ」
「彼ら(アンドレッティ)を望んでいないのは、ハースだけではない。基本的に、F1は11番目のチームを必要としていないと確信している」
「たとえ『アンドレッティだぞ』となっても引き下がってはいけない。参入を目指すのが誰であれ、11番目のチームが付加価値をもたらすとは、F1は現時点で確信していないんだ。シンプルな形を維持してほしい」
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