2023.10.13

マクラーレン、アメリカGPで“リサイクル”カーボン素材をマシンに採用。F1における先駆者が持続可能な開発に向け新たな一歩

Zak Mauger / Motorsport Images

 アメリカ・オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されるF1アメリカGPで、マクラーレン・レーシングはMCL60にリサイクルされたカーボンファイバーを使用したパーツを試験投入すると発表した。

 マクラーレンがこの試験投入に向けてパートナーを組むのはVカーボン社。リサイクル・カーボンファイバー分野における専門企業だ。

 リサイクル済みのカーボンファイバー素材はまず、マシンのコックピットブランディングパネルに採用される。

 マクラーレンはオースティンでの試験が成功すれば、残りのシーズンでもこの素材を採用し、来年以降のマシンでさらなる採用を検討するとしている。

 カーボンファイバーは、その優れた強度と重量から何十年もの間、F1マシンのデザインにおいて不可欠な素材となった。

 この技術にF1で先鞭をつけたのもマクラーレン。1981年にジョン・バーナードが設計したMP4/1は、フルカーボンコンポジットのモノコックを採用した最初のF1マシンとなり、現在カーボンファイバー強化ポリマーはF1だけでなくボーイングやエアバスの最新旅客機の設計にも採用されるなど世界的な需要の高まりを見せている。

 しかし今後10年のうちにその需要は倍増すると予想されており、製造過程で30%が廃棄されるという調査結果もあるため、環境への配慮が求められている。

 マクラーレンはリサイクル・カーボンファイバーの可能性を模索することで「2030年までに完全循環型のF1マシンを開発する」ための第一歩を踏み出したいとしている。

 マクラーレンF1のピアーズ・ティンCOOは、発表に際して次のように語った。

「オースティンでリサイクル・カーボンファイバーを採用し、持続可能素材の分野をリードするVカーボンとチームを組めたことを誇りに思う」

「リサイクル・カーボンファイバーの将来的な応用の可能性は非常にエキサイティングだ。Vカーボンは、カーボンファイバー本来の強度の85%まで向上させることができるため、F1だけでなくそれ以外の様々な用途でも十分な強度を発揮する。我々はFIAとF1、そして他チームと密接に協力し、変化を加速させる手助けをしていく」

 マクラーレンのサステナビリティ担当ディレクターであるキム・ウィルソンは次のように語る。

「完全な循環型F1マシンの開発は、我々の最終目標だ。この分野での技術革新は我々の野心的なサステナビリティ目標の達成に大きく貢献する可能性を秘めている」

「今年のアメリカGPでF1マシンの主要パーツにリサイクル・カーボンファイバーを使用し、サーキットでのパフォーマンスを分析することは、我々のマシン製造におけるGHG(温室効果ガス)排出量全体の削減に向けた重要なステップになる」

 マクラーレンの活動は、2030年までにカーボンフットプリントを実質ゼロにするというF1の取り組みの一環。マクラーレンはリサイクル・カーボンファイバーは一般的に使用されるモノと比べて、最終的な廃棄量を90%削減できると主張している。

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/mclaren-to-trial-recycle-carbon-fibre-at-f1s-us-gp/10532181/
この記事を書いた人 Filip Cleeren

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