2023.10.11

みんな四国の事、どのくらい知っとる? 福住仁嶺が語る徳島。でも今は“アナザースカイ”福岡にゾッコン?【連載:レーサーふるさと自慢】

Masahide Kamio

 人にはそれぞれ、生まれ育った“故郷”というものがある。それはもちろん、レーシングドライバーも同じ。国内トップカテゴリーを戦う彼らに、実際に住んでいたからこそ分かる地元の魅力などを語ってもらおうという本企画……今回はスーパーフォーミュラ、スーパーGT(GT500)でいずれもシリーズ2位を獲得した経験を持つ国内屈指のドライバー、福住仁嶺のインタビューを紹介する。

 前回は北海道・札幌市出身の大湯都史樹に話を聞き、北海道民の焼肉事情や、おすすめのピザ屋など、新鮮な北海道情報を仕入れることができた。今回紹介する福住の地元は徳島県。彼の実家は寺であることはレースファンには有名だが、徳島市街から車で30分ほど離れたところにある名西郡石井町の出身だ。

 四国は全体的に人口が少なく、街の規模も決して大きいとは言えないため、国内のレーシングドライバーの中でも四国出身はかなり珍しい。そんな福住からどんな“四国トーク”が飛び出すのか? 筆者がお隣高知県の出身ということ、福住が現在福岡県で生活しているということもあり、やや徳島から話が脱線した部分も多いが、そこはご容赦いただきたい。

——それでは早速ですが、徳島にはいつまで住んでいましたか?

「確か16歳くらいですね。スクール(鈴鹿サーキット・レーシングスクール)と全日本カートの最終年は実家にいました。17歳で4輪に上がってからは、カートの頃からずっとお世話になっていた方のところで、お手伝いをしながら住まわせていただくようになりました」

——徳島の魅力ってズバリどこだと思いますか?

「全然遊んだことないですからね……。有名なところで言うと阿波踊りや大塚国際美術館や、鳴門の渦潮、徳島ラーメン、すだち、その辺ですね。大塚国際美術館は、米津玄師(徳島県出身)が紅白歌合戦に出た時に歌った場所でもありますね」

——徳島ラーメン、良いですよね。筆者は高知県出身ですが、学生時代によく徳島ラーメンのお店に通っていて、行きつけでした。

「ぜんっぜん食べたことないです(笑)」

——え、そうなんですか!?

「子供の時は(食べた)記憶にないですね。大人になってから初めて食べましたね」

——まあでも、地元民は地元の名物をあまり食べない(特に10代までは)って、あるあるですよね。

「食べないっすね。でも徳島の頃に一番食べていたのは、たらいうどんですね」

——たらいうどん?

「たらいの中にうどんが入っていて、それをみんなでシェアしながらつけ麺のようにして食べるんです。かねぎんというお店が昔から行きつけです。行ったら休みだった時はショックですね(笑)。徳島に帰った時に行きたいところと言えば、そこです」

「あと食べ物で言えば、徳島を離れて恋しくなるのがすだちです。僕たちってお刺身を食べる時とかも、醤油にすだちを入れて食べるんです。これが絶妙に合うんですよね」

——なるほど〜。普段東京で生活していたら、すだちはうどん屋さんで見るくらいかも……。そんな感じで、地元を離れたり上京したりすると、地元との文化の違いに驚かされるケースってよくありません?

「……いやあ?(苦笑)」

——ちなみに大湯選手は焼肉文化の違いに驚いたらしく、「北海道の人は枚数を気にせず網に敷けるだけ敷く」と言っていました。

「それは人によるんじゃないかなあ(笑)。確かにとしちゃんはそうですよ。彼はすんごい勢いで焼きますけど。徳島だと……なんだろう」

——加えて高知を例に挙げると、そうめんが他と全然違ってたりします。かまぼこやしいたけ、錦糸卵とかのっていて具だくさんで。(写真を見せる)

「え、こんなん見たことないですよ! 徳島にはそういうのないですよ、たぶん。強いて言うなら、僕らはガ→ソ→リンじゃなくてガ↓ソ↑リンって言うとか?(笑)」

——方言のイントネーションですね。徳島県の方言はイントネーションが関西弁に近いんですかね?

「関西寄りですね。阿波弁は語尾に『じょ』とか『じゃ』とか使いますね。『ほうなんじょ(そうなのよ)』とか。あと『けん』も使います。『ほなけん(それだから)』とか」

「他の県との違い……なんだろう……。何かあります? あ、そうめんって言ってましたね」

——そうです。他にもチキン南蛮にかけるのはタルタルソースじゃなくてオーロラソースだったり、あとはコンビニにTSUTAYAの返却ボックスが置いてたり……これ以上話すと高知特集になっちゃう(汗)

「高知は特殊ですね(笑)。あとは思ったよりもすだちを周りの県の人たちが使わないとか、運転免許試験の直前に塾に行って、みんな夜中の3時から何回も問題を解いてからそのまま試験会場に行くとか……これは徳島だけじゃないかもしれないですけど」

「でも大人になって改めて思いますけど、徳島は良いところですよ。かずら橋という橋の近くに旅館がたくさんあって、山の中でゆっくりできますし。四国は山が多いので自然を味わえるところが多いですよね」

——確かに四国は自然だけはたくさんありますからねぇ。話は変わりますが、今は奥様のご実家がある福岡にお住まいとのことで。ご飯が美味しいイメージですが、オススメのお店とかありますか?

「教えないっすよ(笑)。え〜どこだろう。でも福岡に来て、全てが良いなと思いました。まずご飯が美味しいし、糸島の方に行くと海も近いし、博多や天神の方に行けば都会で、お買い物もできるし。美味しいご飯屋さんは数え切れないくらいあるし……とにかく最高ですよ。最高ですね、福岡は(笑)」

——相当気に入ってらっしゃるようで(笑)。首都圏ではなく、地方に住むというのは大変な面もあったり……?

「全然大変じゃないですよ。福岡空港は博多駅から近いですし(福岡空港駅は博多駅から電車で5分)、地下鉄空港線沿いに住めば、飛行機や新幹線でどこでも行けますよ。僕自身、海外でもレースをしていたので移動は苦じゃないですし、全然不便だとは感じません」

「確かに、東京での人の繋がりを大事する上では、少しやりづらい部分はあると思います。でも自然もあるし、都会すぎないし、牡蠣小屋もあるし、肉も魚も美味しいし……子供もいるので、奥さんの実家が近くにあるのは本当に心強いですね。引っ越して良かったと思います」

「あとオートポリスも近いですから。2時間あればついちゃいます」

 多くのドライバー、関係者が飛行機からのレンタカー移動で長い時間と労力をかけて現地入りするオートポリスに、今や自宅から車で2時間で着いてしまう福住。今週末にオートポリスで行なわれるスーパーGT第7戦は、“ホームレース”のアドバンテージを活かせるか。

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出典: https://jp.motorsport.com/super-formula/news/my-home-town-fukuzumi/10531589/
この記事を書いた人 戎井健一郎

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