2023.10.9

F1チャンピオントロフィーの受け渡しはお預け……FIA、年間表彰式の伝統を継続。3連覇達成フェルスタッペンは「家に2個あるから待てる」

FIA

 F1カタールGPのスプリントで2位フィニッシュを果たしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、6戦(+2回のF1スプリント)が残っている段階で、今季のF1ドライバーズチャンピオン獲得を決めた。フェルスタッペンとしては2021年、2022年に続き3年連続でのタイトル獲得となった。

 FIFAワールドカップやテニスのウィンブルドン、アメリカンフットボール(NFL)のスーパーボウルなど他のほとんどのスポーツイベントでは、チャンピオンが確定したイベントの終了直後にチャンピオントロフィーが手渡されるが、F1では常にシーズン終了後のFIA年間表彰式で、チャンピオンにトロフィーが授与されてきた。それは早々にチャンピオンが確定した今年も変わらないようだ。

 F1のレギュレーションでは、チャンピオンが正式に決定するのはFIAの年間表彰式の時と定められており、ランキングトップ3のドライバーはこの表彰式への出席が義務付けられている。

 一方で、F1への注目度が高まる中でショーとしての改善を行なうべく、残りの獲得可能ポイント的にチャンピオン獲得が確定したイベントで、ドライバーへトロフィーを手渡すようアプローチの変更を求める声もある。

 仮にそうしたアプローチに変更されていたら、フェルスタッペンはカタールGPのスプリントの後に、今季のチャンピオントロフィーを手にしていたことだろう。

 しかしFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、トロフィー授与のアプローチを変更するというアイデアを否定し、年間表彰式を行なう正当な理由があると説明した。

 ベン・スレイエム会長は特に、年間表彰式でF1チャンピオンの戴冠式を行なうことで、若いドライバーにとってもF1チャンピオンを目指す良い刺激になると考えているのだ。

「(年間表彰式は)”チャンピオンの夜”だ」

 F1カタールGPの際にmotorsport.comを含む一部メディアに対して、ベン・スレイエム会長はそう語った。

「私が初めて(中東ラリーの)チャンピオンになった時、フランスに行く前の寝られない夜やパリに着いてコンコルド広場へ行き、トロフィーを渡されたことなど、想像もつかないだろう」

「私は25歳でとても若かったから、鳥肌が立ったのを今でも覚えている」

「年間表彰式に行くことは夢であり、他の若いドライバーたちもそう思っている」

「若い世代がウィナー、特にF1チャンピオンを見ることができる、チャンピオンたちが集まる夜だ。チャンピオンは彼らにとってのアイドルなんだ。その夢を壊せと言うのか? そうはしたくない」

 またベン・スレイエム会長は、F1トロフィーをこれまで通りの方法で授与することで、その伝統としての価値がさらに高まるとの考えを示した。

 そしてFIAとフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は、アンドレッティの新規F1参戦を巡って緊張関係にあるものの、グランプリでの連携は変わらず強固なモノだとベン・スレイエム会長は語った。

「分裂や裁判の可能性ばかりが話題になるが、何が起こると言うのかね? 空っぽのチャンピオンシップでも設立するのか? そこには(ファン・マヌエル)ファンジオもミハエル・シューマッハーもいない。全てのウィナーがいないことになる」

「ドライバーなら誰かのようになりたいと思うものだ。だから彼らにとってその日、”チャンピオンの夜”を迎えることは夢なんだ」

「そういう意見は分かるが、我々は彼らに何か大きなモノを与えられるんだ」

 なお、今年のドライバーズチャンピオンであるフェルスタッペン自身は、トロフィーの受け取りが待たされることについて気にしていないと語った。

「問題ないよ。どれも同じに見えるしね」とフェルスタッペンは言う。

「家にふたつあるし、代わり映えもない。ただ名前が増えるだけだよ。でも大丈夫、少しなら待てるよ」

「僕はひとつをシミュレータの横に置いていて、テレビの横にもうひとつ置いているよ」

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/fia-will-not-change-f1-world-champion-wait-to-get-trophy/10530382/
この記事を書いた人 Jonathan Noble

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