2023.10.12

タイヤへの懸念が急浮上したF1カタールGP……決勝は3ストップが義務となるのか? ピレリがスプリント終えたタイヤをチェック後、監督ミーティングを経て決定へ

Zak Mauger / Motorsport Images

 F1カタールGPのスプリントレースを控えた土曜日の朝、FIAはタイヤサプライヤーのピレリが金曜フリー走行で20周以上走行したタイヤを分析した結果、決勝レースで突如パンクが発生する深刻なリスクがあることが発覚したと発表した。決勝レースでスティントの長さを指定するなどの措置がとられるかどうかは、決勝日のミーティングによって決まるようだ。

 金曜に発覚した問題は、タイヤに大きな衝撃を与えるいくつかのピラミッド型の縁石を各マシンが通過することに加え、コース上の縁石を高速かつ長時間通過したことで、タイヤのサイドウォール部分のトッピングコンパウンドとカーカスコードの間に亀裂が発生したというものだ。

 問題発覚後、FIAはピラミッド縁石のあるふたつのコーナーでトラックリミットを内側に変更。ドライバーが縁石をできるだけ使わないようにした。土曜にはこのレイアウトでスプリントレースが実施されたが、ピレリは各車がスプリントで19周を走ったタイヤを分析することになっている。

 ピレリはコースレイアウトを変更したにもかかわらず金曜日と同様の問題が起きていると確認した場合、日曜の決勝レースではパンクのリスクを回避するためにスティントの長さを制限し、3ストップを義務付けることになる。

 ただ、スプリントレースでは19周の内に3回のセーフティカーが出動したため、そこで使用されたソフトタイヤとミディアムタイヤは想定された距離をレーシングスピードで走れていない。ただいずれにしても、ピレリはサイドウォールのダメージを確認するためにタイヤを切り開くことになるが、FIAはその調査結果を決勝日の14時(日本時間20時)に全チームに説明するまでは公表しないことを決定した。

 こういった流れは、問題が発覚した金曜日の時点でもチームのエンジニアやドライバーはタイヤに違和感を感じていなかった、ということも関係している。この時も、ピレリがタイヤを切り開いたことによって初めて問題が顕在化したのだ。

 また、フェラーリのカルロス・サインツJr.を含む複数のドライバーは、今回の件をメディアの報道で初めて知ったことに不満を漏らしており、これもチーム監督会議の後にタイヤに関するレギュレーションを発表する、という流れが影響していると見られている。

 スプリントレース後に発表されたピレリのプレスリリースの中で、責任者であるマリオ・イゾラは次のように述べている。

「ピレリにとっては特に忙しい1日だった」

「すでに述べたように、昨晩のフリー走行後にいつものように分析をしていると、20周以上走ったタイヤのサイドウォール……トッピングコンパウンドとカーカスコードの間に微細な傷があることを発見した。これはおそらく、いくつかのコーナー、特にターン12と13で縁石を何度も乗り越えたことによる衝撃が原因だろう」

「すぐにFIAに報告したところ、彼らはこれらのコーナーのトラックリミットを修正し、スプリント・シュートアウトの前にフリー走行セッションを追加して、ドライバーたちにこの部分の新しいラインをチェックさせるという措置をとった」

「現在はいつものレースウィークと同じように、1日の終わりに戻ってきたタイヤを調査している」

「この手順が完了すれば、FIAに結果を伝え、必要であれば明日の夜のグランプリに向けてさらなる対策を講じることになる」

「明日に向けては、現在進行中の分析結果を待って、それがレース展開に何らかの影響があるかどうかを見極めなければならない。戦略について推測するのはそれからだ」

出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/fia-to-make-call-on-three-stop-qatar-gp-after-sunday-f1-team-meeting/10530236/
この記事を書いた人 Alex Kalinauckas

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