
メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1日本GPでただひとり1ストップ作戦を採用し、粘りのレースを見せていた。レース終盤、チームメイトのルイス・ハミルトンとカルロス・サインツJr.(フェラーリ)が迫る中、ラッセルはチームのリクエストに応え、フレッシュタイヤを履くハミルトンを先に行かせることとなった。
ラッセルは当初、ハミルトンとポジションを入れ替えるという判断に疑問を抱いており、チームに無線で最終ラップまで待つよう提案したが、これは指示であるとチームに告げられたことで、それに従った。
それからのラッセルはサインツJr.からポジションを守るため、前に出たハミルトンのDRS圏内に留まれるようにしたいとチームに要求した。これにハミルトンは合意したが、それでもラッセルに余力は残っておらず、サインツJr.にオーバーテイクを許した。
ただハミルトンを前に出す戦略は功を奏し、サインツJr.はラッセル攻略後にハミルトンまでオーバーテイクすることはできず、最終的にはハミルトン5位、サインツJr.6位、ラッセル7位の順でのチェッカーとなった。
メルセデスはレース中にドライバー双方に対してチームオーダーを出す形となったが、ラッセルはメルセデス全体の順位を押し上げるために行なわれた一連のチームオーダーに問題はなかったと語った。
ハミルトンとのポジション入れ替えを受け入れているかと尋ねられたラッセルは、こう答えた。
「ああ、もちろんさ」
「マシンの中では熱くなっているから、無線はガス抜きのような形で使うものだ。長いレースで1時間半もプッシュしているんだ」
「一番の目標はコンストラクターズ選手権で2位に入ることだ。ドライバーズ選手権で僕は蚊帳の外だし、逆にルイスは良い順位を争っているよね」
「とにかく目指すのはフェラーリよりも前でフィニッシュして、来年に向けて頑張り続けること。だから僕にとっては何の問題もないよ」
「最悪のケースは(ラッセルがサインツJr.に抜かれて)2ポイント余計に失うことだった。でも、実際は(ハミルトンまでサインツJr.に抜かれてしまうことで)4ポイント失う可能性もあったわけだから、間をとって考えればチームは正しい判断をしたということになる」
「僕としては全く恨んでいない。さっき言ったように、僕たちはマシン(の改善)の方に取り組まないといけないし、5位と6位に入れたところが5位と7位になったくらいで動揺することはない」
またハミルトンとラッセルは、コース上で何度もバトルを繰り広げ、あわや接触という場面も。この際ラッセルが無線でチームに「他と戦うより、(チームメイト同士で)お互い戦うべきなのか」と問う一幕もあった。
とはいえラッセルは、バトルがフェアなものだったと感じているようだ。
「ハードで、良いレースだったと思う」
「彼にプレッシャーをかけて、仕掛けることができたから満足している。ポジティブに受け取っているよ」
「今週末のマシンは走らせることが難しかったことを考えれば、僕としては力強いペースで走れたと思っている。ハードでフェアなレースができたしね。もちろん、互いに争っている間に若干タイムロスしてしまったけど」
「繰り返しにはなるけど、無線でイライラをぶつけてしまうのも、レースの一部なんだ」
フェアなバトルの中にも、逆に行き過ぎた場面はあったのかと聞かれたラッセルはこう答えた。
「ノーだ。僕たちふたりは単に、近くにマシンがいたせいでタイムを失っただけだ。さっきも言ったように、お互い簡単にポジションを譲るつもりはない。まだレース序盤だったしね」
「僕の方がペースが良かったけど、彼の方が前にいたから、それもレースだ。これについて議論するつもりはない。僕たちには、マシンをもっと速くするというもっと大きな目標がある」
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