
メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1日本GPの決勝レースを1ストップで走り切る戦略を選択した。結果的にこれは功を奏さなかったが、ラッセル曰くこの判断に後悔はしていないという。
今年の日本GPでは、初日の段階からデグラデーションが非常に大きいということが話題となっており、複数回のピットストップを行なう戦略が主流となるだろうという見立てだった。
ラッセルは金曜日の走行を終えた段階で、2ストップも厳しく、3ストップになるかもしれないと示唆していたが、彼はレースで真逆の戦略を採った。なんと1ストップでレースを走り切ったのだ。
結果的にレース終盤には、2ストップを選んだマクラーレン勢やフェラーリ勢、チームメイトのルイス・ハミルトンに抜かれ、7位でフィニッシュ。レッドブルのセルジオ・ペレスがリタイアしたことを考えれば、実質的にはポジションを上げられなかったということであり、1ストップ作戦が功を奏することはなかったわけだ。
しかしラッセルは、マシンのパフォーマンスを考えれば、1ストップを選んでよかったはずだと語る。
「今回のレースから、ポジティブな部分を見出そうと思う」
そうラッセルは語った。
「実際には1ストップよりも3ストップの方が理想に近かった。でも、僕らは1ストップを選んで、それで走り切ることができた」
「ピアストリは、僕を簡単に抜いていったわけではなかった。彼を2周にわたって抑えることができたんだ。ストレートエンドのギリギリのところで、なんとか彼はオーバーテイクしていった。チャールズ(シャルル・ルクレール/フェラーリ)のことだって、抑えることができたんだ」
「だからマシンのペースを考えれば、一か八かの戦略を採ってよかったと思う。チームとして5位と7位なら、まずまずの結果だ」
なおレース終盤には、2ストップを選び、後方から猛烈な勢いで追い上げてきたハミルトンにポジションを譲るよう、チームから指示が飛んだ。ラッセルはこれについて、まったく問題のない指令だったと語った。
「マシンに乗っている時にはかなり熱くなっているから、無線をその捌け口として使うこともある」
そうラッセルは語った。
「長いレースで、1時間半にもわたって全開で走り続けている。ギリギリまで攻めているんだ」
「今の僕には、ふたつ目標がある。ひとつ目はコンストラクターズランキングで2位になることだ。ドライバーズチャンピオンシップに関しては、もう圏外だからね。ルイスはまだ、良いポジションを狙える位置につけているけど……とにかく僕の目標は、フェラーリよりも上の順位でシーズンを終えることなんだ」
「もうひとつは、来年に向けて働き続けていくこと。だから今回の指示は問題ないよ」
とはいえ今回のレース中、メルセデスの2台が激しくやり合う場面もあった。ここで少しタイムを失ってしまったことは認めつつも、良いバトルだったとラッセルは振り返る。
「良いハードなレースだと思った。実際、彼にプレッシャーをかけることができ、彼に行動を起こさせたというポジションにいたことで、僕は満足している」
そうラッセルは言う。
「今週末のマシンは、実にドライブし辛かった。それを考えれば、僕のペースは本当に力強いモノだったと思う」
「(ハミルトンとのバトルは)厳しかったけど、フェアな戦いだった。お互いにやり合って、少しタイムをロスしてしまったけどね。そして繰り返すけど、無線で苛立った言葉を発するのも、普通のレースの一部なんだ」
「レースの序盤だったから、簡単にポジションを譲るつもりはなかった。僕のペースはもっと速かったんだけど、彼の方が前を走っていた。だからそれについて議論することは何もないと思うよ。釣り上げるべき大きな魚がいるというのは、マシンをより速く走らせる上でもっとも良い方法なんだ」
ポジションをハミルトンに譲った後、ラッセルはカルロス・サインツJr.(フェラーリ)の攻撃を凌ぐため、チームに対してハミルトンのDRSを使えるようにするよう願い出た。結局これも効果的でなく、すぐにサインツJr.に抜かれてしまうことになったわけだが、ラッセル曰くこの時点でタイヤはかなりオーバーヒートしてしまっていたという。
「僕らは共に、フェラーリより上の順位を得るために取り組んでいる。でもレースの展開を考えると、必要だった。僕のタイヤは、その時までにもうトーストのようになっていたんだ」
なおハミルトンは、ラッセルにDRSを使わせるよう指示を飛ばしたチームの判断に疑問を持っている旨を明らかにしている。