
ブッダ・インターナショナル・サーキットで開催されたMotoGPインドGPでは、ホンダがこれまでの苦戦と比較して好調な走りを示した。ただ、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)は今回示されたペースについて「ミステリーだ」と語っている。
ホンダは今季も苦戦が続いていたが、今年初開催となったインドGPでは初日から速さを見せた。予選ではマルク・マルケスとミルが2列目を確保し、スプリントレースでマルケスが開幕戦以来の表彰台を得たことは、予想されていなかったと言えるだろう。そして決勝レースでもマルケスは表彰台争いを展開。クラッシュで戦線を離脱したが、それでも追い上げを見せて9位フィニッシュを果たしている。
インドGPではコンディションが考慮されてより硬い構造のタイヤが持ち込まれた。これはホンダのマシンにとってはプラスにならないと考えられていたことも、今回の結果が意外なものだと言える要因の1つだ。
好調の要因について、マルケスからはコースレイアウトが挙げられている。彼はブッダ・インターナショナル・サーキットが、今年唯一ホンダが勝利したサーキット・オブ・ジ・アメリカズと性質的に似通っていると主張した。
「なぜかって、それはここがオースティンと比較してかなり似ているコースだからだ」
マルケスはそう語る。
「あそこはストップ・アンド・ゴーのコーナーがたくさんある。マシンを立てる必要があって、あまりバンクさせていく必要がないんだ」
「そこは僕らの弱点でもあって、カタルニア・サーキットのような場所では、僕らは週末を通じて苦しむことになる」
「でもこのコースはストップ・アンド・ゴーの性質で、バイクをさっと引き起こしてギアを上げる必要がある。僕らのマシンは普通こういったところで最も優れたマシンと同じくらい上手く機能してくれるんだ」
ミルもホンダ移籍後ベストリザルトとなる5位を記録。彼は今回の好調についてミサノテストがマシンの理解に役立ったと語っているが、ペースについては「ちょっとしたミステリーだ」とも付け加えた。
「マルクは一歩前進し、数週間前よりも少し強くなっていた」
「だけど僕は彼と同じか、近い水準まで進むためにもっと大きな一歩を踏み出した。今週末僕らは素晴らしい一歩を踏み出したよ」
「もちろんミサノテストは大事だった。たくさん周回を重ねることができたし、終盤のラップをチェックすると、ユーズドタイヤでもとても速かった」
「つまり、僕らはいくらか自信を取り戻すことができると分かったんだ」
「そして他のコースよりも素早く適応できる力をもって新しいコースに到着した僕らは、すぐに速さを発揮することができた」
「週末を通じてそれを続け、成長することができた。予想はしていなかったけど素晴らしかったね」
「金曜日に速さがあることは予想していたけど、2日目の予選でも凄く良かった。そしてウォームアップでも良いペースをまた示すことができて、レースでは予想していたポジションを争えた」
「でもチームには昨日、流石に勝つことまでは予想できないと話していたよ。それはまず無いことだ」
なおインドGPから連戦で行なわれる日本GPは、インドGPと同じ様にストップ・アンド・ゴーの性質を持つモビリティリゾートもてぎが舞台となっている。またタイヤも標準のものへ戻ることになる。
「もてぎでどうなるかは興味深いね。特にタイヤも普通のモノになるし、僕のライディングスタイルにとってはそのほうが少し助けになる。もちろん、外のライダーも速くなるだろうけれどね」
マルケスはそう語った。また、レースで転倒してしまったことについては、次のように付け加えている。
「ただ僕らは今週末を通じて、(マルコ)ベッツェッキ、(フランチェスコ)バニャイヤ、(ホルヘ)マルティン、そして(ルカ)マリーニのほうが速かったのも事実だ」
「その4人は別格で、僕らは5番手だったんだ」
「そういった理由から、今日は最初の10周でさらにリスクを冒した。というのも僕らは普段からユーズドタイヤではうまくいっていたから、最初の10周でドゥカティ勢についていければ、しかるべき場所にいれたはずだからだ」
「そうしてリスクを冒したけど、残念ながらターン1でワイドに膨らんでしまった」
「ラッキーなことに、レースには復帰できた。シルバーストンからデータ収集を重視し始めたことは覚えているだろうけど、完走することが僕の目標なんだ。だから目標は達成できたし、重要だったのは3位フィニッシュした(ファビオ)クアルタラロと同等のペースだったことだよ」