
F1日本GPの初日を終え、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が予想以上に大きそうであることが分かってきた。日曜日の決勝レースは、各車とも複数回のピットストップは避けられそうもない。
日本GP初日に行なわれたフリー走行1回目とフリー走行2回目では、いずれもレッドブルのマックス・フェルスタッペンが最速タイムをマーク。前戦シンガポールGP惨敗の鬱憤を晴らすかのような走りを披露した。
しかし決勝レースで大きな問題となりそうなのが、タイヤのデグラデーションである。FP2では各車が長い周回数を連続して走行したが、タイヤの性能が劣化し、走れば走るほどペースが低下していく事象に見舞われたのだ。
■めちゃくちゃ大きいデグラデーション

上のグラフは、ソフトタイヤでの各車のロングランペースである。いずれのグラフも右肩下がりとなっている。つまり走行距離がかさむに連れて、ペースが悪化していっているということが顕著に現れているのだ。
ソフトタイヤでロングランを行なったマシンは7台いたが、そのデグラデーション値の平均は0.192秒/周。つまり10周走ると2秒ラップタイムが遅くなるという計算だ。
そんな中で少し違う傾向のロングランペースを示したのがメルセデスのルイス・ハミルトン。ハミルトンは、他のマシンよりも1秒ほど遅いペースで走り始め、以後そのペースを維持。これに対して他のマシンはどんどんペースが落ち、5周目頃にはそのペースが逆転してしまったのだ。
なお今回のデグラデーションの原因は、トレッド面の摩耗ではなく、熱による劣化であるようだ。
ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、「摩耗レベルは良好である一方、熱による劣化はかなり大きい。とはいえ、40度前後という高い路面温度とコース特性を考えると、予想通りであった」と語っている。
それを考えれば、ハミルトンのように走行開始直後はタイヤに極力負荷をかけないという走り方が、今回のタイヤの使い方としては模範と言えるかもしれない。
■ミディアムでもデグラデーション大

ミディアムタイヤでのロングランも、ソフトタイヤと同じようなデグラデーションの傾向にある。そしてソフトタイヤでのハミルトン同様、走り始めにペースを上げなかったエステバン・オコン(アルピーヌ)のタイヤのもちは素晴らしく、唯一デグラデーションがマイナスであった。
■決勝は3ストップ?

残るハードタイヤは、他のタイヤとは異なる振る舞いをしているかもしれない。このタイヤでロングランを行なったのはバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)だけであり、サンプル数が少ないという点もあるが、走り始めこそペースが落ちているが次第に安定し、5周目以降は横ばいというタイム推移となっている。
これを見れば、ハードタイヤが決勝でのメインになりうるタイヤだと言えるかもしれない。
ピレリ曰く、当初の予定では日本GP決勝は1ストップか2ストップか、その判断が難しいところだったと明かしているが、ここまで見てきたデータを踏まえると、2ストップでも厳しいのではないかという見方もある。メルセデスのジョージ・ラッセル(メルセデス)は3ストップになる可能性も示唆しており、決勝はタイヤパフォーマンスの読み、コース上に存在する”空間”などを巧みに読み取る必要が求められる、複数ストップを要する頭脳戦となるかもしれない。
さて、ここまで見ていただいた3つのグラフの中に、ある重要なドライバーのデータがないにお気付きだろうか? そう、今季のチャンピオン候補最有力であるフェルスタッペンがいないのだ。
フェルスタッペンは、今回のグランプリに持ち込まれた、2024年用プロトタイプタイヤ(C2/ミディアム想定)でロングランを行なっており、本番用ミディアムタイヤ3セットを1セットも使わぬまま初日を終えたのだ。
これはフェルスタッペン”チーム”の巧みな戦略で、決勝レースにこの3セット全てを残すつもりなのか? あるいはFP3で使ってしまうのか? もし残すようなことがあれば、決勝レースがマルチストップになる可能性を十分に考慮したタイヤ選択だったということだろう。
そういう意味でも日本GPの2日目、FP3の各車の走行に注目したい。
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