
メルセデス・ジュニアチームに属する17歳のレーシングドライバー、アンドレア・キミ・アントネッリに熱視線が注がれている。彼は来季、F3を経験することなく飛び級でF2デビューを果たす可能性も含めて、関係者間で協議が続けられている。
2022年にイタリアF4とADAC F4(ドイツF4)でダブルチャンピオンに輝いたアントネッリは、今季からF4とF3の中間にあたるカテゴリーであるフォーミュラ・リージョナルのヨーロッパ選手権に参戦しており、ランキングトップに立っている。通例であればここからF3→F2とステップアップしていくのが定石だが、アントネッリの場合は飛び級が検討されているというわけだ。
ただ、F2への昇格に関してはまだ正式決定には至っていないが、メルセデスF1チームのトト・ウルフ代表はアントネッリが過度の注目を浴びることで「誇大広告」のような存在となってしまうことを危惧しているようだ。
ウルフ代表は、F1イタリアGPが行なわれるモンツァで次のように語った。
「我々は皆、アンドレアが素晴らしいキャリアを築けることを願っている」
「しかし、若手ドライバーの周囲が騒がしくなり過ぎると、彼が何も安心してできなくなってしまうというリスクを常にはらんでいる」
「彼はFRECA(フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ・チャンピオンシップ by アルピーヌ)に参戦している。昨年は磐石の強さでF4を圧倒し、それまではカートでも成功を収めている。そして今年、FRECAでも選手権をリードしている」
「FRECAがどうなるかを見届けてから、彼の父と本人と共に、来年どうするかを決める」
「ただ、私はイタリア人の彼が素晴らしいキャリアのスタート地点に立っていることを嬉しく思う」
昨年のF4での成功を経て、今年はFRECAだけでなく、既にフォーミュラ・リージョナルの中東選手権でもタイトルを手にしているアントネッリ。ただ、彼と同じく2021年にイタリアとドイツのF4で2冠を達成したオリバー・ベアマンが翌年にF3へと昇格していることを考えると、なぜアントネッリを今季からF3に送り込まなかったのかと疑問視する声もある。
これについてはアントネッリおよびベアマンの所属チームであるプレマのレネ・ロジン代表が以前、次のように説明していた。
「ベアマンに関してはそのチャンスがあったが、キミはまだ16歳だ」
「彼はここから2年でF1に上がる準備ができていない。何事もステップバイステップで、順を追ってやっていった方がいい。F3やF2に上がってしまうとテストの機会がないんだ」
「FRECAを使えば走行距離を稼ぐことができる。各イベントで予選と決勝が2回ずつあり、将来に備えることができる」
「F3でうまくいき、F2に上がってもうまくいき……という風にいっても、F1に行ける年齢に達していないか、F1に行けるほどの経験が備わっていない可能性がある。心身ともに成長するために必要なことをしていくだけだ」