
2024年シーズンからFIA F2で使用される新型車両が、イタリアのモンツァ・サーキットでお披露目された。この車両は、安全性、見た目、システム、パフォーマンス、サステナビリティやアクセシビリティなど、あらゆる面でF1マシンに近付けることが目指されている。
アクセシビリティという点においては、女性ドライバーを含めた様々な体格のドライバーでも扱いやすいマシンとすることがテーマとなっている。新型車両のシェイクダウンを担当したのも、F2参戦経験もある女性ドライバーのタチアナ・カルデロンだった。
幅広いドライバーが扱いやすいマシンにするためには、F1でも使用されているパワーステアリングをFIAシングルシーター選手権のピラミッドにおいて広く採用するという解決策がある。しかしF2のCEOであるブルーノ・ミシェルは、それよりもサスペンションジオメトリーやブレーキングに必要な踏力などを調整することが最善の解決策だと考えている。またFIAも、シングルシーターのピラミッド内でステアリングの重さを「あらゆるドライバーが受け入れられるような」形で統一するのが良い選択肢だと考えている。
ミシェルはこのことについて次のように述べた。
「我々はFIAと、これらのテーマについてかなり広範囲に取り組んできた。FIAはステアリング操作の重さの基準を、かなり重いものに設定していた」
「我々はサスペンションジオメトリーについて取り組んできたが、パワーステアリングは全く必要ないと感じている。ただ我々が取り組んでいることは、他人よりもフィジカル面が弱い人にとって助けになるだろう」
「それだけでなく、あらゆるドライバーが快適に乗れるようなコクピットにも取り組んだ。150ポンド(68kg)〜195ポンド(88kg)といったサイズのドライバーでも、快適でいられるようにしたかった」
「ステアリングホイールにも取り組んだ。ステアリングホイールを握るには指が短い女性ドライバーもいたからだ。彼女たちが握れるように、ステアリングを細くする必要があった」
ペダルやステアリングホイールの位置をドライバーの体格に合わせてアジャストする機能は、現行のF2、F3車両にも備わっている。また、シートポジションも小柄なドライバーにも、大柄なドライバーにも合わせられるようになっている。
ただミシェルによると、昨年女性ドライバーによるF3車両でのテストの中では、ブレーキに関する問題点が多く挙がったといい、それが次期車両の開発にも影響を与えたと語る。
「まだ変更には至っていないのだが、ブレーキングについて変更を加える可能性は常にあった」
「というのも、女性ドライバーにF3車両に乗ってもらってテストをした結果、そのコメントはステアリング操作のキツさに関するものではなく、ブレーキングのキツさに関するものが大半だったのだ。つまり、ブレーキに力を加えるのが難しいという意見が多かったのだ」
「マスターシリンダーを変えて(ブレーキングを)楽にするという可能性は常にあるし、必要であれば全員を同じセットアップとすることもできる。これは大きな違いを生む可能性がある」
またFIAの競技部門で副会長を務めるロバート・リードは、ステアリングの重さを共通にすることに関して、運営組織の立場からかなりの苦労があったと語った。
「FIAの立場としても、このことを成し遂げる上で多大な労力がかかった」
「最初の課題は、女性ドライバーや小柄なドライバーなど、あらゆるドライバーに受け入れられるステアリングの重さを見つけることだった。そして我々は、許容範囲と思われる重さを定義した」
「第二の課題は、ステアリングの重さを(FIAシングルシーター選手権の)ピラミッド全体で同じにすることができるのかという点だ。つまり、フォーミュラ4もフォーミュラ・リージョナルもフォーミュラ3もフォーミュラ2も、同じような重さのステアリングを作るということだ」
「FIAがそこに取り組んでいる。パワーステアリングについては様々な意見があったが、それよりFIAのシングルシーターピラミッド全体で機能する策を見つけるというのはとても良い選択肢だ」
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