
昨シーズン(シーズン9)からGen3マシンを導入したフォーミュラEは、早くも2026-2027年シーズン(シーズン13)から投入されるGen4に向けて動き出している。
そうした中でシリーズの共同創設者であるアルベルト・ロンゴは、次期型マシンではパフォーマンスとコストのバランスを取りつつも、バトル性能を“最優先事項”として取り扱う必要があると語っている。
フォーミュラEは6月にGen4のバッテリー/シャシー供給契約に関して門戸を開き、8月31日にはその入札プロセスが締め切りを迎える予定となっている。
Gen4の草案では、ピーク時の出力が現行マシンの約2倍となる600kW(815PS)まで引き上げられるとされている。空力性能もより重要視され、ハイダウンフォース仕様とローダウンフォース仕様が設定されることとなる。Gen4では全幅が100mm増え、車重が76kg重くなると予想されている。
そして、空力パッケージの選択やパワーユニットの出力設定を300kWにするのか、それとも600kWとするのかなど、レースシナリオを4つ用意することでチャンピオンシップにさらなるドラマを創り出すことが検討されている。
「コストと技術進化のバランスが全てだと思う」
ロンゴはmotorsport.comに対してそう語った。
「モータースポーツの1ファンとして、私はバトルが繰り広げられるのを見たい。スピード以上に、それが我々にとっての最優先事項だ」
「チーム間、ドライバー間のバトルを担保できれば、シーズン終盤には3〜5人のドライバーがチャンピオン候補となる可能性が生まれる。よりパワフルなマシンを手に入れることにも興味があるし、テクノロジーが我々の急速な成長を可能にしてくれる」
「Gen1からGen2への移行では大きな変化があったし、Gen2からGen3でも大きな変化があった。Gen3時代の中盤で予定している進化も大きなモノとなるだろう。Gen4ではさらなる進化を続けるつもりだ」
「テクノロジーの進化によって、元々多くの障壁があった領域でより速く、より長く走れることをアピールすることが重要なのは間違いない」
フォーミュラEは2024-2025年(シーズン11)からGen3.5を導入予定であり、実質的な現行モデルのアップデート版が使用されることになる。
シーズン13からのGen4導入に向けて、FIAは今年の10月19日に供給契約を結ぶ企業を決定する予定となっている。
なお、2016-2017年(シーズン3)のシリーズ王者であり現在はマヒンドラから参戦するルーカス・ディ・グラッシは、Gen4ではさらなるマシン開発を推し進めるべきだと考えている。
「フォーミュラEのマシンは、地球上で最も加速の速いレーシングカーでなくてはいけないと思うし、パフォーマンスが重要だと思う」
ディ・グラッシはmotorsport.comにそう語る。
「僕らはEV技術において、多くのパフォーマンスを発揮できる段階にある」
「Gen3で既にフォーミュラEは選手権としての成熟期を迎えたが、Gen4ではさらにそれを向上させていくことができる」
「また一般の人たちから見れば『1000馬力のマシンには乗れない』という尊敬の念も生まれる」
「戦闘機みたいなモノだ。非常に大きな力が身体にかかり、何時間ものトレーニングが必要になる」
「普通の人がフォーミュラEのマシンを運転できないという訳じゃない。運転はできるけど、僕らと同じレベルに近づくこともできないくらいだ」
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