
夏休み前の数戦で、急激にそのパフォーマンスを向上させてきたマクラーレン。これにより、それまでは影を潜めていたオスカー・ピアストリの実力が改めて証明されることとなった。
ピアストリは2021年にF2でチャンピオンに輝くと、2022年にはマクラーレンがアルピーヌから引き抜く形でピアストリを獲得。両チームの間では泥沼の契約問題に発展したが、それもある意味、彼にかかる期待の大きさを表したものだったと言える。
2023年からマクラーレンの正ドライバーとしてF1デビューを果たしたピアストリだったが、マシンのパフォーマンスが低く、目立った成績を残せずにいた。しかし夏に大規模なアップグレードを果たしたマクラーレンMCL60は大幅に戦闘力を上げ、ランド・ノリスがイギリスとハンガリーで2位を獲得。ピアストリもイギリスで4位、ハンガリーで5位に入り、ベルギーではスプリントで2位を獲得してみせた。
チーム代表のアンドレア・ステラは、デビュー当初からピアストリの才能の片鱗は感じられていたといい、今は単純にその才能を結果に繋げられるツールを手にしたに過ぎないと語った。
「彼の現在地に関して言えば、既に最初のテスト、最初のレースの段階からそこに向かって成長していることは分かっていた。(成長が)加速したとは思っていない。マシンの競争力が上がったことの恩恵を受けており、彼の能力を発揮する機会が増えただけだ」
「マクラーレンのマシンを乗りこなすのは簡単ではなかった。マシンの特性や、それがどのような問題を引き起こしているか、ドライバーがどのような不満を感じているかはこれまでにもコメントしてきた」
「だからそれ(ピアストリの実力)はシーズン開幕時から明らかだったが、マシンの競争力があまりに低かったことでそれが表に出ていなかった。言うなれば今の彼は、シーズン開始当初から成長を続け、(実力を)確固たるものにしたのだ」
ピアストリは雨絡みのコンディションとなったスパのスプリントで、2番グリッドからスタートして慎重な走りで2位フィニッシュを成し遂げた。ステラ代表はピアストリが難しいコンディションの中で成熟したパフォーマンスを見せ、まるでベテランのような印象を与えたと語った。
「オスカーの興味深い点は、全てをシンプルに見せているというところだ」
「こういったコンディションで、レースをリードし、路面が乾いていく中でミスを犯すこともなかった」
「これは考え得る上で最も印象的な走りだった。そしてその冷静さ、慎重さという点で、非常に優れたアプローチを見せた。これまでのところ、本当に印象的だ」
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