
2023年シーズン圧倒的な強さを見せているレッドブル。彼らの持つアドバンテージのひとつがDRSを使った際のスピードだが、その原理を理解するためにライバルが長い時間を必要としたことに驚いているという。
レッドブルの今季マシンRB19はシーズン前半戦を全勝。まさに圧倒的な強さだ。彼らのマシンの強みのひとつは、DRSを使用した時の速さであり、ライバルをオーバーテイクする際にも、効果を発揮してきた。
そのDRSの効果は、ライバルから何かのトリックを使っているのではないかという疑惑すらかけられるほど。最近もルイス・ハミルトン(メルセデス)が、ダウンフォースが多く必要なハンガリーGPでもレッドブルのDRSの強みが大きく発揮されていたように見えたことについて疑問を呈した。
レッドブルのDRSの効果が大きいように見えるのには、ビームウイングとリヤウイングのバランスが関係しているようだ。
レッドブルのリヤエンドは、他のマシンよりも安定していると言われていて、その結果ビームウイングを小さくすることができる。つまりリヤエンドで発生するダウンフォースの大部分は、リヤウイングで発生させているということを意味し、その分DRSを作動した際に空気抵抗を削減する効果が大きくなるのだ。
ライバルチームもレッドブルのような方向でマシン開発を行なおうとしているが、リヤを安定させるためにビームウイングが果たしている役割を考えると、それを真似るのは難しい状況にある。
そのため今後もしばらくは、レッドブルがDRS使用時にアドバンテージを享受し続けることになるだろう。ただレッドブル側としては、ライバルチームがこのアドバンテージをもたらしている要素について理解するために長い時間を要していることに驚いているようだ。
レッドブルのテクニカルディレクターであるピエール・ワシェは以下のように語った。
「クレイジーなのは、我々がこれを導入した後2年も経ってからこの話をしていることだ」
「我々はトリックがあるのかどうかを確かめるため、FIAから何百回ものテストを受けてきたが、巷では(最近になっても)なぜ非常に高いダウンフォースのコースでこのアドバンテージが消えるのかが理解されていない」
「つまり、彼らはまだ理解できていないということだ。我々にとってはかなりの驚きだよ」
なおマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、レッドブルが過去2シーズンに行なってきたような方法でマシンのリヤを開発するのには、時間がかかると明言している。
「彼らは以前からこのコンセプトを追求してきたようだ」
「彼らはこのような構成でマシンを開発する上で多くの経験を持っていることから、何らかの利点を得ているのかもしれない。それは時間が経つにつれて明らかになっていくと思う」
「今はどのチームも、このような方向性で開発することで、何が可能になるかを見極めようとしていると思う」
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