
先日富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第4戦は、ミシュランのウエットタイヤの優位性をこれでもかと見せつけた3号車Niterra MOTUL Zが優勝した。しかしミシュランは今季限りでGT500のタイヤ供給を休止することを発表しており、現在ミシュランタイヤを使うNISMO陣営の2台(NISMO、NDDP RACING)が来季どのメーカーのタイヤを履くのかについては、長らく注目の的となっている。
現在、スーパーGTのGT500クラスにはブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップの4メーカーが参入しているが、ミシュランのGT500休止により、NISMO陣営は必然的にブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップのいずれかにスイッチしなければならないことになる。
先日岡山で行なわれた2024年向け開発車両による3メーカー合同テストでは、日産の開発車両である230号車にはブリヂストンタイヤが装着され、日産陣営唯一のブリヂストンユーザーであるTEAM IMPULのドライバー、チームスタッフがテストに参加した。そのため来季のNISMOはブリヂストンタイヤになるのではないかという噂が加速した。
ただこれについて日産陣営の松村基宏総監督はmotorsport.comに対し、ブリヂストンとインパルによるテスト実施はあくまでスケジューリングやオペレーション上の都合だとして、何か特定の意図があるものではないとコメント。同じく開発車両を持ち込んで9月にもてぎで実施される予定のテストではミシュランタイヤを使用するとしていた。
また、現状は2台のみの供給となっているヨコハマも、第3戦鈴鹿で19号車WedsSport ADVAN GR Supraの手によって7年ぶりの勝利を挙げるなど、確かな進化で上り調子のタイヤメーカーと言える。ただ横浜ゴムのタイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダーである白石貴之氏はmotorsport.comに対し、現状ヨコハマはNISMOとのタイヤ供給に関する協議やオファーはないと認めた。
ミシュランがGT500から離れるというニュースに対する感想を求められた白石氏は、次のように述べた。
「我々としてもそのニュースには驚きました」
「もし外からのオファーがあれば、我々もより多くの車両に供給できるよう準備をしますが、今のところ残念ながらオファーはありません」
「(NISMOとの協議も)現状ありません」
GT500クラスでは既に15台中10台がブリヂストンユーザーとなっているが、仮に来季NISMOの2台がブリヂストンにスイッチした場合、15台中12台まで拡大されることになる。白石氏はもしそうなった場合、プロモーターのGTアソシエイション(GTA)とも協議が必要だと語る。
「もしブリヂストンが12台まで増えることになると、グリッドのほとんどがブリヂストンということになります。そうなると(来季以降も参戦する)3メーカーがイコールコンディションではなくなってしまうため、その辺りのレギュレーションについてはGTAとも話をする必要があると思います」
「現状、我々は2台だけの供給となっていて、ダンロップさんも1台だけです。(前年の未勝利メーカーはテスト時間が優遇されるが)最も有益な情報や知識はレースで得られます。もしブリヂストンが12台になればデータ収集の面でのアドバンテージが大きくなり、それは(相対的な)パフォーマンスに影響するでしょう」
GT500の供給台数を増やすことは開発を加速させる上で非常に有用なため、GT300の供給チーム数を減らす必要が出てくるものの、GT500チームからのオファーがあればベストを尽くしたいと語る白石氏。ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップの3メーカーによるタイヤ開発競争の行く末は未確定な部分もあるが、GTAの坂東正明代表は「タイヤコンペティションを維持する」という方針を明らかにしており、それを維持する体制を作り上げるためにヨコハマやダンロップとも協議をしていきたいとしている。
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