
メルセデスは、今季マシン『W14』のコーナリング特性について、ドライバーたちが自信が持てない不安定な状態だと明かした。
シーズン途中でサイドポンツーンのコンセプトを変更するなど、苦戦しながらもパフォーマンス改善を目指しているメルセデス。ドライバーからはポジティブなコメントも出てくるようになっているが、テクニカルディレクターのジェームス・アリソンは、コーナリング中のマシンはドライバーに自信を与えるという点で理想的とは言い難いと語った。
そのためアリソン曰く、理想的な車高の追求やダウンフォース増加などはもちろん、ハンドリングとバランスの改善に特に力を入れているという。
「基本的にダウンフォース(の増加)は良いものだ」
そうアリソンはメルセデスのウェブサイトで語った。
「我々はまたドライバーがターンインする際、より安心できるようなクルマにしようとしている。反応が過敏すぎるように感じるんだ」
「そしてエイペックスにつくと、逆の問題が起きる。フロントが食いついてほしいのに、そうならない。ステアリングの切り始めは不安定で、エイペックスに差し掛かるとイライラするほどクルマが”死んで”しまうんだ」
「我々はその逆がいいんだ。それに今取り組んでいる」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルがより快適に感じられるマシンをチームが提供することに成功すれば、多くの可能性が開けると考えている。
「バランスとフィーリングに関しては、ドライバーがより信頼できるマシンとプラットフォームを提供する必要がある」
「絶対的なダウンフォース量ではなく、コーナーに進入したときにクルマが安定していると彼らが分かっている必要がある。今はまだそうではないんだ」
「ドライバーに自信を与えられれば、それによってパフォーマンスも向上するから、我々はそれにかなり集中している」
メルセデスも、すでに開発のリソースをかなり2024年マシンにシフトし始めている。ただそんな中で見いだせた発見を、今季マシンにも適用できると考えている。
「今の段階で、風洞では2024年に向けた開発にかなり集中している」とアリソンは語った。
「製図オフィスやビークルダイナミクス、リードタイムの長いアイテムの製造など、大部分はシフトし始めている。しかしそれはW14のチャンスでもあるんだ」
メルセデスの最終的な目標はワールドチャンピオン争いに復帰することに変わりはないものの、アリソンはレッドブルに次ぐ2位で1年を終えることを狙っていると話した。
「開幕当初我々は4番手だったし、我々のカスタマー(アストンマーチン)に打ち負かされるのを見てフラストレーションが溜まっていた」
「フェラーリにも負けていた。だが少しずつ、少しずつ、それらを過去のものにしている。戦略からエンジニアリング、信頼性、製造、そして難しいチャンスをポイントに変える素晴らしいドライバーたち。すべてがその一翼を担っている」
「当初の目標には届かなかったが、それでも2位獲得は我々全員にとって本当に重要なことだ。特にシーズン後半はW15に流れが移っていくのだからなおさらだ」