
世界中でF1の人気が高まっている昨今。しかし、それが全ての国に当てはまるわけではない。F1の人気が逆に低迷している国も存在する。
そんな国のひとつがドイツだ。同国出身唯一の現役F1ドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、ドイツ国内では気候変動の責任は自動車業界にあるとされ、持続可能性がないと言われており、その影響がモータースポーツにも及んでいると考えているようだ。
ドイツ国内では、2020年のアイフェルGPを最後に、F1が開催されていない。しかしこのドイツは、ミハエル・シューマッハーやセバスチャン・ベッテル、そしてニコ・ロズベルグらのチャンピオンを輩出した国。しかもトップチームの一角であるメルセデスも、同国の自動車メーカーである。
昨年限りでベッテルがF1から引退した後、唯一のドイツ人F1ドライバーとなったヒュルケンベルグは、ドイツでのF1人気が厳しい状況にある背景には、環境対策など多くの要因があると考えているようだ。
「ドイツはレースの世界において、マイケル(シューマッハー)やセバスチャン、そしてロズベルグがいたのに役に立たなかった」
そうヒュルケンベルグは語った。
「さらにメルセデスに関しては、少なくともこれまでの30年ほどの間、F1において常に非常に強い存在感を示してきた」
「スポーツの人気が高まって需要が高まることもあるけど、おそらく当然のことながら、時には低迷することもあるだろう」
「ドイツでは一般的に、自動車産業は気候変動に関する責任を負っており、持続可能ではないという認識があると思う。それがモータースポーツにも影響を与えているんだろう」
「自動車は悪いことだという認識が、政治家から国民に伝えられていることだ。そしてそれはどういうわけか、F1のレースにも悪影響を及ぼしている」
現時点でのドイツでのF1人気は低迷している。しかし2026年からはアウディがF1に参戦。そしてF1のオーナー企業であるリバティ・メディアも、ドイツGPをF1開催カレンダーに復帰させることを検討している。
ドイツGPの開催復活について、F1のステファノ・ドメニカリCEOは次のように語った。
「我々はドイツが再びテーブルについてくれるのを、心から願っている」
「ひとつ言えるのは、我々はドイツでグランプリを開催したいということだ。もうひとつは、グランプリの開催について議論するために、必要なことをテーブルの上に揃えるということだ」
「できればすぐにそうなるといいね。近いうちに何かが起きるかもしれない。彼らは我々と、別の状況について話し合うことになるだろう」
しかしヒュルケンベルグは、F1ドイツGPが近いうちに復活することはないだろうと語った。
「もちろん反対しているわけじゃない。でもそれによって、僕に何かの違いが起きるわけじゃない」
そうヒュルケンベルグは語った。
「そんなこと(すぐにドイツGPが復活すること)が起きるだなんて予想してない。でも、舞台裏のことは分からない。もしかしたら、誰かが糸を引こうとしているのかもしれないね」
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