2023.8.13

ホンダがフォーミュラEではなく、F1を選んだのは何故か? 鍵を握るのはバッテリー開発

Honda

 2026年からF1に復帰することを決めたホンダ。しかし同社は、2040年までに四輪の販売比率をEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池自動車)100%にすることを発表している。市販車との繋がりを考えれば、彼らが参戦すべきはF1ではなく、フォーミュラEであるように感じられる。

 しかしホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、フォーミュラEに参戦することについては全く検討していないと語る。その理由はバッテリーにあるようだ。

 世界各国で環境対策の重要性が叫ばれて久しい昨今。自動車業界もその例に漏れず、多くのメーカーがEV化へと舵を切った。モータースポーツの世界でも2014年に電気自動車のフォーミュラカーのレース”フォーミュラE”が立ち上げられ、今や世界選手権となった。2024年には東京でもフォーミュラEのレースが初開催される予定である。

 ホンダも、2040年までにエンジンを搭載する四輪車の販売を終了させ、電動車100%にする方針を打ち出している。そんなホンダにとっては、フォーミュラEは参戦するのにうってつけのカテゴリーであるように思える。東京で開催されるとなれば、そのPR効果も絶大だ。

 しかし渡辺HRC社長は、フォーミュラEへの参戦は全く考えていないと明かす。

「現時点では、特に参戦の検討はしていません」

 渡辺社長はそう語る。

「我々がレースに出る目的のひとつは、人と技術を育て、鍛えるということです。その観点で言えば、F1の方がより達成できるフィールドだと思っています。」

「フォーミュラEを否定するわけではありませんが、F1へのチャレンジの方が、人や技術が磨かれると評価しています。両方やればいいのでしょうが、それだけのリソースはありません」

 その鍵となるのはバッテリーだ。F1では、エンジンが大元の動力源となるが、運動エネルギーを回生してバッテリーに蓄え、動力として活用する。そのバッテリーはそれぞれのパワーユニット(PU)メーカーが開発することができる。そしてその性能がパフォーマンスを大きく左右する。

 一方でフォーミュラEは参戦コストの高騰を避けるため、バッテリーはウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製のワンメイクである。つまりフォーミュラEに参戦したとしても、今後の市販車にも活かせるであろうバッテリーを、自社で開発することはできないのだ。

 バッテリーの開発が自由化されれば、フォーミュラEに参戦する可能性があるかと尋ねると、渡辺社長は次のように語った。

「そうですね。ただ今は、F1の方が開発の自由度は高いですから。そして何より、世界最高峰の技術競争の舞台ですから」

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出典: https://jp.motorsport.com/f1/news/why-honda-choosen-f1-than-formulae/10506127/
この記事を書いた人 田中健一

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