
これまで、ドイツ・ケルンにあるトヨタの風洞施設を使用していたマクラーレンF1。この契約は間もなく終了となるが、トヨタとの協力関係は違った形で継続されることになりそうだ。
マクラーレンは今月からイギリス・ウォーキングのファクトリーにある自社製の新風洞施設を使うことになる見込み。TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGR-E)との12年間にわたる契約に終止符が打たれる。
マクラーレンは2010年から、当時F1から撤退したばかりだったトヨタの旧風洞施設を使い始め、ニューマシンの設計に役立ててきた。新風洞の仕様により、マクラーレンがケルンにある風洞を使用することはなくなるが、トヨタとしてはこれで両者のパートナーシップが完全に終了になるとは考えていない。
TGR-Eのマネージングディレクターであるロブ・ルーペンは次のように語る。
「マクラーレンに対してはまだ様々な可能性がある」
「マクラーレンがTGR-Eに求めるサービス、彼らのエンジニアがケルンに滞在する頻度は当然変わってくるが、我々は彼らが新しい風洞を開発プログラムに組み込むプロセスに関して建設的な対話を行なっている」
「これまでの活動を通し、TGR-Eがいかにトップレベルのエンジニアリングプロジェクトに長期的な付加価値を与えられるかを明確に示せたと思っている。今後もマクラーレンのような革新的な企業をサポートしていきたい」
マクラーレンとトヨタの関係は風洞の使用にとどまらず、年々広がっていた。例えばマクラーレンはケルンのファクトリーに独自の作業エリアを設け、独立したデータシステムを構築すると共に、そのデータをウォーキングのデータとリンクさせていた。また、ケルンの風洞が最先端の技術を維持できるように開発面でも協力しあっていた。
マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラはトヨタのサポートを賞賛しており、次のようの述べた。
「TGR-Eのサポートは、我々の成功にとってかけがえのないものだ」
「マクラーレンのチームと(トヨタの)施設内スタッフとの間には良好な協力関係が築かれており、施設内の設備は我々のマシン開発プロセスには欠かせないものとなっている」
「現在マクラーレンは、大規模な効率化をもたらす新たな風洞の試運転に着手している。我々はTGR-Eの風洞で行なわれた作業がこれまでのチームの進歩に役立ったと認識しており、この期間にわたるTGR-Eの貴重なサポートに感謝したい」
ルーペンはまた、トヨタの方も長年にわたってマクラーレンの成功の一端を担えたことを嬉しく思っていると付け加えた。
「これほど長い間、マクラーレンのF1ストーリーの一翼を担えたことを誇りに思う」
「我々が信頼関係を構築し、12年も共に働いてきたことは、両組織が相互にリスペクトしていることのあらわれでもある。TGR-Eとマクラーレンの従業員の努力のおかげで、この関係を成功させることができた。マクラーレンの献身的な努力に心から感謝している」