
1998年と1999年の2年連続でF1王者に輝いたミカ・ハッキネンが、motorsport.comオランダ版のインタビューに応じ、今季圧倒的な強さを見せているマックス・フェルスタッペンの活躍に感銘を受けつつも、今後もずっと勝ち続けることはないだろうと語った。
2023年のF1も前半12戦が終了。その全てをレッドブルが勝ち、しかもそのうち10勝をフェルスタッペンが挙げた。フェルスタッペンは2021年、2022年とF1を連覇しており、3連覇に向けて死角はなしといった状況だ。
そのフェルスタッペンについてハッキネンは、様々な記録を更新していく存在になるだろうと語った。
「全ての記録は、誰もが破ることができる。時を経て、どんどん良くなっていけるんだ」
ハッキネンはそう語り始めた。
「私の現役時代を振り返り、そしてその後でF1にやってきた世代を見ると、彼らは私たちよりも優れたレーシングドライバーだと思う」
「彼らは、はるかに優れた知識を持っている。才能はおそらく同じようなモノなんだと思う。しかしF1にやってくるドライバーを取り巻く全てのことは、彼らがより良い仕事をし、より準備が整うような形になっている。よりプロフェッショナルなドライバーになっているんだ」
「彼らがより優れたレーシングドライバーになるのに役立つ科学的なモノは、まだまだある」
「マックスは現代のスターだ。間違いなく彼は、パフォーマンスを向上させている。本人がそれを認識していなくてもね。彼はこの先もどんどん良くなり、より速くマシンを走らせるようになり、全ての記録を打ち破る可能性があると思う。そうなっても、私は驚かないよ」
ハッキネンは、最高のドライバーが最高のチームに所属しているため、そういうことが起きる可能性が高まっていると語る。そしてその中心には、かつてはハッキネンのタイトル獲得にも貢献したひとりの天才がいる。
「彼は良いチームに所属している。エイドリアン・ニューウェイは素晴らしいデザイナーであり、この素晴らしいマシンのデザインに貢献している。だから、マックスにはあらゆるチャンスがあると思うよ」
しかしそのことが、フェルスタッペンの活躍を阻むことに将来的には繋がるかもしれないとハッキネンは言う。
フェルスタッペンはレッドブルと2028年までの長期契約を結んでいるが、その間ずっと勝てるとは限らないと、ハッキネンは指摘する。
「彼がずっと勝ち続けられるとは私は思わない。レギュレーションにより、勝てていないチームには、風洞実験の時間などを増やすチャンスが与えられるからだ」
そうハッキネンは言う。
「風洞が、マシンを走らせるために非常に重要な要素であることは、誰もが知っている。最高のテクノロジーを備えたチームが、風洞を使ってマシンを開発し、データを理解し、それを読み取ることで将来の勝者となるのだ」
「現時点ではレッドブルが勝っているけど、それが長く続くとしたら本当に驚くだろう。ただ、彼らがそれで終わりということを意味するわけではない。一度勝てなくなったとしても、彼らはまた戻ってくる。そういう巡り合わせなんだ」
ハッキネンは、現在のレッドブルを倒す存在として、自身がかつて所属していたマクラーレンの名前を挙げた。
「マクラーレンのようなチームが表彰台に上がった。突然、非常に強くなるのを見てきた」
「マクラーレンが、すぐにでもレッドブルに挑戦する立場になるだろうと、私は確信しているよ」