この記事をまとめると
■日産アベニールは実用性を重視したステーションワゴンとして登場し注目を集めた
■ターボ✕4WDでスポーティ路線を強化するもレガシィの壁は厚かった
■5速MTが設定されないなどコア層の心を掴めなかったことも敗因のひとつだろう
1990年代のステーションワゴンブームへの日産の回答
1989年に登場した初代レガシィツーリングワゴンは、それまでライトバンの延長というイメージの強かったステーションワゴンに「速さ」という要素をプラスしたことで、瞬く間に大ヒット車種となり、他メーカーからも多くのフォロワーを生み出したことでも知られている。
そんなレガシィツーリングワゴンに対抗するモデルとして、1990年5月に日産が投入したのがアベニールで、それまで存在していたブルーバードやスカイラインのワゴン及びバンの後継車種というポジションも担っていた。
ただ、レガシィのようなスポーツワゴンというよりは、スリークなスタイルと高めのルーフ、幅の広いスタイルで、実用性もあわせもつステーションワゴンといったイメージとなっていた。
一応、欧州ではプリメーラワゴンとして販売されており、ルックスも初代プリメーラに似たものとなっていたが、フロントがストラット、リヤがトーションビームとまったく異なる足まわりをもっており、日本では異なる名前が与えられたのも納得だった。
そんな真面目なステーションワゴンとして生まれたアベニールだったが、やはりレガシィの人気は圧倒的。その打開策として、1995年8月に実施されたマイナーチェンジのタイミングで2リッター直4ターボエンジンに4WDを組み合わせた「GTターボ」を追加し、車名も「アベニールサリュー」へと改めた。
そして、1998年8月に2代目へとフルモデルチェンジを果たすと、スタイルを実用的なものからスポーティなものへと一新。リヤの足まわりも日産が得意とするマルチリンク式へと改められ、走行性能も高められている。
先代のマイナーチェンジ後に追加された2リッターターボ4WDモデルは「GT4」系としてよりスポーティな外観が与えられ、通常モデルは「サリュー」系として比較的おとなしめな外観になるという差別化が図られた。
2000年10月には、レガシィランカスター(のちのアウトバック)に対抗するモデルとして、大型バンパーや高められた車高、ツートーンカラーなどでメイクアップした「ブラスター」を追加するなどしたものの、やはりレガシィの壁は高く、2005年末ごろで終売となってしまった。
ステーションワゴンとしては真面目な作りとなっていたアベニールだったが、レガシィに及ばなかったのは、やはりホットなターボモデルに5速MTが用意されなかったことでコアなファンを獲得できなかったのが一因ではないだろうか。
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