2024.8.8

マイクロカーメーカーが突如作ったスーパーカー「メガトラック」! たった数台の販売で消えた悪路も走れる「バカデカ」スーパーカーの正体とは

マイクロカーメーカーが突如作ったスーパーカー「メガトラック」! たった数台の販売で消えた悪路も走れる「バカデカ」スーパーカーの正体とは

この記事をまとめると

■フランスのエクサム社はマイクロカーのメーカーとして1975年に誕生した

■1990年代にほんの一瞬だけエクサム社はスーパーカービジネスに参入した

■エクサム・メガトラックはオンオフ共用のスーパーカーだった

マイクロカーメーカーとして順調に発展したエクサム社

 AIXAM(エクサム)という自動車メーカーを知る人は、この日本ではどれくらいいるだろうか。そんな名前、聞いたことがないといわれても、それは少数派ではないだろう。なぜならこのフランスを拠点とするエクサム社(正確にはエクサム・メガ社)は、1975年に運転免許証が不要な超小型車の開発と生産に成功したアローラ社を買収し、やはりフランスに1983年に誕生したメーカーだ。2013年にはアメリカのポラリスがそれを買収しており、現在に至っている。

エクサム社のマイクロカー

 彼らがホームグラウンドとするフランスでは、アローラ社との提携によって、1987年にライセンスフリー市場におけるリーダーとしての地位と、流通ネットワークの品質、そしてプロフェッショナリズムに貢献していることがカスタマーからも認められている。

 サービスは現在、エクサム社のネットワークに参加している専門整備業者によって行われており、クルマの購入やサービスなど、必要なあらゆる情報を提供する。保険、アシスタンス、クレジット、新車、中古車の販売、リース、そして中古車購入など、必要な情報はすべてシームレスでこのネットワークから得ることができる仕組みは、我々の予想をはるかに超える。

 現在、同社が生産するモデルは、つい最近まで1980年代に誕生したマイクロカーが主流であったが、より高い品質と運動性能を得るために、1990年代に入ると標準的なサイズのクルマの生産も行うようになった。

 現在はスマート・フォー・ツーに匹敵するエクサムA.7シリーズを生産しており、これにはクボタ製のディーゼルエンジンが搭載されていた。また、2006年にはレクトリックのパワーユニットを採用したメガシティをイギリスで発表し、会社の規模も2009年には2008年に経営破綻したナイス・カー・カンパニーの資産を買収することで、より大きなものになった。

エクサムA.7シリーズのフロントスタイリング

 1990年初頭は、同時にエクサムにとってきわめて積極的な活動を見せた年代だった。1992年、同社はほんの一瞬ではあるが、スーパーカーのビジネスに興味を示し、実際にエクサムブランドのモデルを製作した実績を持っているのだ。

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30年前に誕生していたスーパーオフローダー

 マイクロカーのメーカーがスーパースポーツというコンセプトの変貌ぶりには誰もが驚かされたが、1992年のパリサロンに姿を現した「メガトラック」と呼ばれるモデルは、スーパーカーとしては不釣り合いなほどに大きなウエッジシェイプのボディデザインをもつスーパーカーでありながら、走る道を選ばない、すなわち最近ではポルシェの911ダカールや、ランボルギーニのウラカン・ステラートに似たコンセプトをもつ、オン・オフ共用というコンセプトを持ち合わせたモデルだったのだ。パリ・サロンの会場では、当然のことながらそれには熱い視線が集まった。

エクサム・メガトラックのフロントスタイリング

 メガトラックには、メルセデス・ベンツから供給された6リッターのV型12気筒エンジンが搭載され、389馬力の最高出力と570Nmの最大トルクが発揮された。組み合わせられるミッションは4速AT。静止状態から100km/hまでの加速は5.8秒、最高速は250km/hがオフィシャルデータだ。

 サスペンションには全輪駆動のメカニズムが与えられ、クーペモデルの最低地上高はスタンダードな203mmから最大で303mmまで拡大できる。装備されるのはもちろん油圧サスペンション。その大きなボディサイズの恩恵で、キャビンが4人乗りとして設計されていたのも特長だ。

エクサム・メガトラックの走行シーン

 メガトラックは、それほどに大きいスーパーカーだったのか。ここでいくつかの比較データを紹介しよう。まず全長は5080mmとメルセデス・ベンツSクラスクーペより15mm長く、全幅の2220mmはハマーH1より23mm広い。全高の1440mmはフェラーリF40より316mmも高い設定なのだ。車重も2200kgを超える。

 オールトレインスーパーカーというタイトルで売り出されたメガトラックだが、それはモータースポーツにも積極的に参加したものの、わずか3年ほどで生産を終了してしまう。生産台数は5台から10台とみるのが妥当で、これらは重量の問題から後輪駆動化されていた。

エクサム・メガトラックのリヤスタイリング

 後継車のメガ・モンテカルロはさらなる小型化と軽量化を図り4.5秒の0-100km/h加速と301km/hの最高速をスペックシートで謳ったが、こちらもその販売は好調とはいえなかったようだ。1996年から1999年までの生産期間にデリバリーされた数字は、オフィシャルには一切記録されていない。

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出典: https://www.webcartop.jp/2024/08/1414013/
この記事を書いた人 山崎元裕

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