レクサスLXやRX、レンジローバー、メルセデス・ベンツのGクラスやGLE。国内外を問わず、現代のラグジュアリーカーの主役は、かつてのフラッグシップセダンからプレミアムSUVへと完全に移行したといえる。しかし、これらのプレミアムSUVが物理的に抱える課題がある。それが、SUV特有の「重さ」と「高さ」に起因する、乗り心地やハンドリングの質の維持だ。
2トンを優に超える車重を支えるため、足回りは必然的に固められ、路面からの突き上げは角が立ちやすくなる。また、重心の高さゆえにレーンチェンジでは揺り返しが発生し、容積の広いキャビンはタイヤが発するロードノイズを皮肉にも共鳴・増幅させてしまう。せっかくの高級車であっても、タイヤ選びひとつでその「品格」は脆くも損なわれてしまうのである。
こうしたプレミアムSUVのジレンマを解消すべく、ブリヂストンが展開しているブランドが「ALENZA(アレンザ)」だ。その新製品として2026年2月に投入されたのが「ALENZA LX200」である。快適性と運動性能を高次元で両立しつつ、独自技術によって環境性能やウェット性能を引き上げたというこのタイヤ。その実力は、いかがなものなのか。今回そのALENZA LX200に試乗する機会を得たので実際に試走してその快適性やハンドリング性能を試してみた。
静粛性、ハンドリング、ウェット性能。すべてにおいて高次元なバランス
ALENZA LX200は、ブリヂストンのSUV向けブランドにおいて、コンフォート性能を極めたフラッグシップである。目指したのは、重量級の大型SUVに「高級セダンのような静寂と優雅な乗り心地」を与えることだ。同社の最高峰ブランド「REGNO(レグノ)」で培われた静粛技術をプレミアムSUV向けに最適化して、さらに現代の重量級SUV特有の入力に耐えうる構造へと進化を遂げている。
話を伺ったブリヂストンタイヤソリューションジャパン商品企画部の伊藤氏開発のポイントについて、同社商品企画部の伊藤氏に詳細を伺った。LX200はタイヤの接地圧を均一化し、洗練された乗り心地と静粛性を実現。同時に、重量級SUVの悩みである偏摩耗を抑制させることにも成功している。
また、トレッドパターンにも緻密な計算が施されている。イン側に配置された「突き通しサイプ」が音の周波数を分散させてパタンノイズを抑制。さらに、イン側の「シングルブランチ型消音器」がノイズを低減しつつ、パターン剛性を確保することで、静かさと確かなハンドリングを両立させた。特筆すべきは、摩耗が進むにつれて現れる「シークレットグルーブ」だ。これにより、タイヤが減っても高周波ノイズを抑制し続け、新品時の静粛性が長く持続するのである。
ハンドリング面では、接地形状を最適化した「LX-tech Comfort設計」が光る。タイヤの変形を均一に抑えることで、フラつきの少ない安定したステアリングフィールを実現しながら、路面からの不快な振動を低減。
安全性能においても妥協はない。「LX Aqua Techゴム」にはアクアパウダーとウェット向上剤を配合し、全サイズでウェットラベリング最高ランクの「a」を獲得。前モデルのLX100と比較して、ウェットブレーキ性能を15%も向上させている点は、雨天時の安心感に直結する大きな進化といえる。
LX200は前モデルLX100に比べてウェットブレーキ性能は15%も向上している。LX200に履き替えたオーナーからの評価は?
発売から間もないALENZA LX200だが、すでに感度の高いSUVオーナーからは熱い視線が注がれている。都内のカーライフ拠点「A PIT オートバックス東雲」のスタッフに話を伺ってみた。
LX200はプレミアムSUVオーナーからの指名買いも多いとのこと。「ブリヂストンへの信頼は非常に厚く、純正装着タイヤからの交換時にLX200を指名される方が増えています。実際に履き替えたお客様からは、“後席の家族との会話が劇的にしやすくなった”“高級車本来の乗り心地が戻った”という驚きの声が多く寄せられています」
「また、機能面だけでなくデザイン性も好評です。タイヤサイドの文字やデザインを高いコントラストで黒く際立たせる技術『LUXBLACK(ラックスブラック)』が採用されているため、足元が引き締まることで車両全体の高級感が増したという感想もいただいています」
LX200は「LUXBLACK」を採用することで、サイドの文字・デザインを高いコントラストで黒く際立たせている。荒れた路面でも、静かで芯のあるハンドリングを実感
コーナーでも重心の高さを感じさせずタイヤがしっかり路面をつかみ、サイドウォールの剛性の高さが感じられた。今回の試乗車は、BEV(電気自動車)の日産アリアだ。車重は約2トン。BEVならではの静粛性と重量を併せ持つこの一台は、タイヤの性能を評価するには格好だろう。A PIT 東雲をスタートし、大型トラックが頻繁に行き交う国道357号線へと向かう。この道は、轍や舗装の継ぎ目、高架の段差が連続し、タイヤの弱点が露呈しやすい過酷な環境である。
走り出してまず驚かされたのは、音の「質」の変化だ。エンジン音のないBEVでは、通常なら「ゴー」というロードノイズが目立つものだが、LX200を履いたアリアの室内は外界の喧騒から隔絶されたような静寂に包まれる。いつもなら声を張り上げなければならない後席との会話も、ささやくようなトーンで十分に成立する。
荒れた路面特有の「ジャー」という不快な音は「シャー」という穏やかな高周波へとフィルターされ、低音の籠り音も驚くほど角が取れている。これはトレッドパターンの消音技術が確実に機能している証拠だ。
静粛性が非常に高いため、小さなボリュームでも後席同乗者と会話ができた。さらに国道357号線の継ぎ目を乗り越える際、LX200はその「いなす力」を発揮した。重量級ボディが段差を叩く衝撃をしなやかに吸収しつつ、ENLITEN技術による接地形状の最適化がボディをピタリと安定させてくれる。レーンチェンジ後の揺り返し、いわゆる「お釣り」が最小限に抑えられていて、サイドウォールの剛性が重いアリアをしっかりと支えているのが伝わってくる。
ハンドリングも実に正確だ。ステアリングを切り始めた瞬間から、タイヤが路面を面で捉えている確かな手応えがある。重心が高いSUVでありながら、右左折や急なカーブでもタイヤが腰砕けにならず、意図したラインを正確にトレースできる。この「芯の強さ」は、長距離ドライブでの疲労軽減だけでなく、緊急回避時の安全性にも大きく寄与するはずだ。
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プレミアムSUV本来のポテンシャルを、LX200は余すことなく引き出してくれる
今回の試乗を通じて痛感したのは、プレミアムSUVやBEVのような重量級車両こそ、タイヤがその「完成度」を左右する最後のピースであるという事実だ。日産アリアが持つポテンシャルを、ALENZA LX200は余すことなく引き出し、さらに上質なスパイスを加えた。この感覚は、レクサスや欧州プレミアムSUVのオーナーであれば、より明確に感じられるはずだ。
タイヤは路面とクルマを繋ぐ唯一の接点。走りの質を最終的に決定づけるのはタイヤに他ならない。車内での上質な会話や音楽を楽しみたい、重量級SUV特有の突き上げを抑えたい、それでいてハンドリングやウェット性能にも妥協したくない。そんな欲張りなニーズに対し、ALENZA LX200は、まさにベストな選択肢となるはずだ。

取材協力店舗
A PIT オートバックス東雲
住所 東京都江東区東雲2丁目7番20号
電話番号:03-3528-0357
駐車場台数:239台
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