クルマのオーディオをグレードアップしたいけれど、純正システムは簡単に交換できない。そんな悩みを抱えるユーザーにこそおすすめしたいのが、パイオニアのカロッツェリアから新登場したDSPユニット「DEQ-2000A」だ。純正オーディオに追加するだけで、まるで別次元のサウンド体験が可能になるという。その実力を、MOBILA編集部がいち早く試聴・検証した。
純正ディスプレイオーディオ車にこそ効く!今こそ注目の“後付けDSP”
かつては、オーディオのグレードアップというと、メインユニットやスピーカーなどを交換して車の音響環境を向上させるというのは当たり前のことだった。また、アンプやサブウーファーなどをインストールして、本格的なサウンドシステムを構築するというのも決して珍しいことではなかった。なんといっても、カーオーディオのカスタマイズは、今よりずっと手軽に行うことができたから。
しかし、今どきの新車の純正オーディオ、特にディスプレイオーディオは、いわゆるDIN規格ではなく、インパネのデザインと合わせた独自のデザインとなっているうえ、クルマの機能と密接にかかわっていることもあって簡単に交換することができない。そこで注目されているのが、後付け可能なDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)だ。そして、パイオニアが新たに発売するDSPが、カロッツェリア『DEQ-2000A』である。

パイオニア carrozzeria
デジタルプロセッシングユニット
DEQ-2000A
オープン価格
DSPとは、車室内という音響的に厳しい環境下で、より良い音響空間を実現するためのユニットなのだが、そもそもどういったものなのか、まずはそこから説明していこう。
純正オーディオにDSP(Digital Signal Processor)を取り付けると何が変わる?何ができる?
DSPとは「デジタル・シグナル・プロセッサー(Digital Signal Processor)」の略で、簡単に説明すると、オーディオ機器などからのスピーカー出力信号を、デジタル処理して車内という音響的に不利な環境でも理想的なサウンドを構築できる機器だ
クルマは、純粋に音楽を楽しむ空間としては決して良い環境じゃない。例えば、ドライバーは左右のスピーカーの真ん中で音楽を聴けないし、クルマによってツィーターやミッドレンジなどの各スピーカーの配置もバラバラ。また、内装材にはガラスや鉄板、布やプラスチックなどが混在しており反射音も多く、ドアやシートのなどの位置や形状もまちまち。これらの要因により、音の定位(音像の位置)やバランスが乱れやすく、本来の音楽の魅力を十分に引き出すことができない。
でも、DSPがあれば、以下のような高度なデジタル処理が可能になる。
- タイムアライメント:各スピーカーからの音がリスナーの耳に同時に届くように時間差を補正
- イコライザー(EQ):音域ごとのバランス(低音・中音・高音)を細かく調整
- クロスオーバー:各スピーカーが再生する帯域を振り分け、無駄なく効率的な再生を実現
- スピーカー出力レベル:各スピーカーの音圧の差にバラつきがないように調整し、音の偏りを減少
音質劣化が少ないデジタル処理でこのような緻密なセッティングができる。そのためDSPを使用すればまるでライブ会場にいるかのようなリアルな音場や、ボーカルが目の前で歌っているかのような定位感、高音質化が可能になるわけである。しかもDEQ-2000Aは車種専用データやプリセットデータを用意することで、専門的な知識が無くても簡単に音場調整ができる工夫を施している。そう、DSPがあれば、純正のオーディオシステムやスピーカーをそのまま活かしつつ、リスニング環境を飛躍的にグレードアップできるというわけなのだ。
マーケティング担当者が語る!DEQ-2000Aの真価と音へのこだわり
DEQ-2000Aについて、パイオニア株式会社の蒲牟田洋明氏に話を伺った。

「DEQ-2000A本体内には、厳選されたCLASS Dアンプ(80W×4ch Class Dアンプ)、高性能なD/Aコンバーターなど高音質パーツが搭載されており、メインユニットとスピーカーの間に追加するだけでサウンドクオリティを大きく高めることができます。価格は比較的リーズナブルですが、使っている内部のパーツは上位機であるDEQ-7000Aと同じで、非常にコストパフォーマンスにも優れています。」
メインユニットやスピーカーの交換などと違い、純正オーディオにDSPを追加するというとなんとなく敷居が高く感じるかもしれないが、蒲牟田氏によると、DEQ-2000Aは加工や追加の取付キットが無くても取り付けができる取り付け性の高さも大きな魅力となっているという。


「DEQ-2000Aは、コンパクト設計でシート下などにも設置が可能なうえ、純正のオーディオシステムの配線を切ることなく、カプラー接続だけで取付けできるスピーカーライン入出力ケーブル(別売)も用意されています。また、車種ごとの車室内音響特性に合わせてチューニングしたサウンドチューニングデータを20車分ご用意しています。」

用意された20車種のセッティングデータは、1車種ごとにパイオニアのサウンドのプロの手(耳)によって、実際にサウンドを確かめながら緻密に調整されたものだという。だから、車体タイプごとにデータを流用するなどということは一切なく、すべてデータは車種ごとに全くの別物になっているという。
「加えて、車種セッティングデータのないクルマでも、Compact、Hathback、Sedan、SUV、VANといったクルマのタイプに合わせて設定が可能な車形データも用意していますし、楽曲に合わせて簡単に切り替えられるプリセットEQ(5種類)も搭載しているので、誰にでも手軽に、車内のリスニング環境を大きく改善することができます。」
無料のWindowsソフト「DSP Controller」で、好みに合わせた音響調整を直感的に行える。車種別の「サウンドチューニングデータ」は、20車種分が用意されている。カロッツェリアホームページから無料でダウンロード可能だ。
Bluetooth接続したスマホのアプリ(無料)からも音響調整が可能。
また、専用のスマートフォンアプリやWindows PCソフト(無料)を使って、その車種別のチューニングデータを、自分なりの直感的な操作でさらに調整して楽しむなどということもできるとのこと。DEQ-2000Aは手軽に導入でき最高のサウンドが手に入るだけでなく、そのタイムアライメントやイコライザーなどのセッティングを自分なりに詰めていけば、自分だけの音響空間を目指すこともできるわけだ。
スピーカー出力 4 ch とプリアウト6chを備えており拡張性も期待できる。
「また、プリアウト出力(6ch)も用意されていてシステム拡張も可能です。DEQ-2000Aの導入で高音質化が期待できますが、そこからスピーカーの交換やサブウーファーの追加、外部アンプを使用してさらなるアップグレードで上を目指すことも可能です。」DEQ-2000Aの導入をきっかけにカーオーディオの沼にハマってみるというのもなかなか面白いかもしれない。では実際の音はどのようなものなのか試してみよう。
実車試聴で検証!DEQ-2000Aは純正オーディオをどう変えるのか?
DEQ-2000Aのポテンシャルを確認。デモカーはスイッチの切り替えで純正状態と、DEQ-2000Aを通したサウンドの違いが比較でき、非常にわかりやすかった。
今回試聴したのは30系アルファードの純正ディスプレイオーディオに、DEQ-2000Aを追加したもの。スピーカーなども純正のままで、タイムアライメントやイコライザー他セッティングは30アルファード専用セッティング(DEQ-2000A は、30アルファード他、代表車種20車種の車種専用セッティングデータが提供されている。)となっている。
DEQ-2000Aはコンパクト&薄型設計で実物は思いのほか小さい。ただし持ってみるとズシリと重い。外形寸法は200(W)mm×47(H)mm×169(D)mmなので、シート下などにも簡単に設置できる。
早速音源を再生して音に集中してみる。まずは純正状態での試聴してみるとこれも決して悪くない。さすが高級車だけあって、それなりに音のまとまりもあり、低音もしっかり鳴っている。高音の伸びが少し弱く、ボーカルの輪郭がちょっとあいまいかな、とも感じられるが、多くの方はこれでも十分高音質と感じるのではないだろうか。
サウンドが心地良い。まるでミュージシャンが目の前で演奏してくれているかのよう
次はDEQ-2000AをONにしてDSPの効果を体感だ。聴き始めてすぐに感じられたのが低音のパンチ力だ。サブウーファーを追加したわけではないのに明らかにパワー感が違い、体の芯に低音が響いてくる。それでいて不自然な強調はされていないので聴き心地が良い。全体的に立体感が感じられ音の情報量が増したようだ。
そして、音像の定位感が明らかに向上しており、高音から中域までのつながりもよく、まるでミュージシャンが目の前で演奏してくれているかのようだ。さらに、高音の伸びも素晴らしい。音域が明らかに広がっていて透明感のあるボーカルの声がダイレクトに飛び込んでくる。なんというか音の輪郭がシャープに研ぎ澄まされた感じだ。
アルファード専用セッティングの効果は絶大で、純正とDEQ-2000Aを切り替えるとドライバーズシートだけでなく後席からでもそのサウンドの大きな違いが明確に感じられる。
そして、再度純正システムに切り替えて聴き比べると、ボーカルの声やドラムのスネア、ギターの音などのサウンドはばらばらに音が左右どちらかのスピーカーに張り付いているように感じられてしまう。音の厚みもなく、高音もあきらかに詰まっている。差は想像以上に大きい。
でも、DEQ-2000Aを通すと、ボーカルの声は瑞々しく、まるで目の前で歌ってくれているかのような、リアルで臨場感あるサウンドに変わる。大げさに聞こえるかもしれないが、メインユニットだけでなくスピーカーなども交換したかのような、車内がまるで別物の音響空間に変わったといっても過言じゃない。これは嘘偽りのない素直な感想だ。
DEQ-2000Aはこんな人におすすめ! オートバックスでは現在先行販売中!
正直、試聴前は純正オーディオも悪くなく、DSPでどこまでサウンドのクオリティが変わるのか、という懐疑的な部分もあったが、聴いてみれば全く違っていた。DSPでここまで変わるとはちょっと驚き。メインユニットやスピーカーなどは純正と変わっていないわけだから、DEQ-2000Aが、その本来のポテンシャルを完全に引き出し、車内を理想的な音響空間に近づけ、純正オーディオとは比較にならない高音質サウンドを聴かせてくれているわけである。素直にすごいと思う。
DEQ-2000Aはマイカーの純正オーディオシステムのサウンドを、もう少しグレードアップしたい、音を良くしたいという方。ゆくゆくは本格的なハイファイシステムも目指してみたいという方に、間違いなくおススメのアイテムといえる。なんといっても上位モデルと同等の、このクラスとしては破格の高級なパーツを使い、機能性にも非常に優れたDSPが、とてもリーズナブルな価格で購入できるというのは見逃せないだろう。
DEQ-2000Aの発売予定は年末の12月となっているが、全国オートバックスグループではすでに先行販売中だ。DEQ-2000Aのその良さは、試聴してみないとなかなか分かってもらえないかもしれないが、もし機会があるならぜひ試してみてほしい、DSPの追加で純正オーディオのサウンドがここまで激変するのか! ときっと誰もが驚くこと間違いなしだ。
※ 「DEQ-2000A」は、株式会社オートバックスセブンの協力を得て開発を行いました。
■オートバックスドットコム:https://shop.autobacs.com/ja/Shop/p/01811442
■オートバックス楽天市場:https://item.rakuten.co.jp/autobacs-ec/4988028534430/
■オートバックスYahoo!ショッピング店:https://store.shopping.yahoo.co.jp/autobacs/4988028534430.html
■パイオニアホームページ:https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/car_av/processor/