- 2025年6月6日 発表

工学院大学の学生プロジェクト「工学院大学ソーラーチーム」は6月6日、オーストラリアで8月24日~31日に開催される世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge 2025(BWSC)」に、新車両「CYGNUS(シグナス)」で出場すると発表した。
工学院大学は、2023年開催の前回大会で8位完走。2025年の今大会では、2013年の初参戦から10年以上培った経験と技術を進化させ、初優勝を目指す。
「内製化」と「構造のシンプル化」を追求したマシン「シグナス」

はくちょう座を意味する新車両「CYGNUS」は、前回大会の反省を活かし、軽量化と整備性を追求し構造をシンプルにしたことを特徴としている。車両の設計・製作においては、製作過程のほとんどを学内設備で行なったチーム史上初の車両となった。
ボディに使用する炭素繊維の積層や焼成は学生が自作した炉で行ない、タイヤ周辺の金属部品も学内の「ものづくり支援センター」で5軸マシニングセンタを用いて加工。これまで外部の専門企業に依頼していた工程のほとんどを学内で担ったのはチーム創設以来、初の試みとしている。
また、構造設計においては、整備のしやすさとトラブル時の可視性を向上させるために、軽量化と整備性を両立。これまでのノウハウを生かし、ソーラーパネルの配置や配線をシンプルにし、レース中のメンテナンスのしやすさと軽量化を実現させた。
デザインは投票で決定されたカタマラン型(双胴型)の3輪レイアウトを採用。ボディを左側に傾けた非対称構造は横風を受け流し、空気抵抗の低減と安定した走行性能の両立を図った。バッテリや電装部品も左寄せで配置され、重量バランスと操縦安定性を最適化した。
車体担当者の井上隼輔氏は(工学部 機械工学科3年)、「前回の反省を生かし、トラブルに強く、軽いソーラーカーを目指しました。空力、重量、剛性など、総合的に見てバランスのよい車体となりました。オーストラリアの過酷な環境においても、チームメンバーとパフォーマンスを発揮できると確信しています。サポート企業や大学の皆さまをはじめ、多くの方々からの支援に感謝し、上位入賞を目指してチームメンバー一丸となって全力を尽くします」との意気込みをコメント。

工学院大学ソーラーチーム監督の濱根洋人氏(工学部 機械システム工学科 教授)は、「『Designed by 工学院大学、Made at 工学院大学』─。その言葉を体現するかのように、今回は実製作の多くを学内で完結させたのはチームとして初の試みです。企業に頼らず学生たちの力だけで仕上げたシグナスは、これまでで最も学生主体と言える車両です。経験と技術を受け継ぎ、学びながら成長する彼らの姿こそ、プロジェクトの意義そのもの。山あり谷ありの連続でしたが、今思えばそれほど辛くはなかったように感じます。 オーストラリアの地をこのソーラーカーが走る姿を、ぜひ楽しみにしていてください」とコメントしている。
2025ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ
開催期間:2025年8月24日~31日
開催場所:オーストラリア(ダーウィン~アデレード)
主催者:南オーストラリア州政府
大会タイトルスポンサー:株式会社ブリヂストン
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