2024.7.31

街乗り・チョイ乗りだけだと壊れるの?DPFって何?クリーンディーゼル車との付き合い方

  従来のディーゼル車に比べ環境性能が高く、燃費の良さや力強い走りから近年人気のクリーンディーゼル車。SUVブームも相まって三菱・デリカD:5やマツダ・CX-5などのクリーンディーゼル車が非常に人気で、街中で目にしない日は無いと言ってもよいでしょう。過去には国・自治体による補助金の対象だったこともあり爆発的に普及したクリーンディーゼル車ですが、一方で、DPF(ディーゼル微粒子浄化フィルター)についての理解不足などから煤詰まりによるエンジントラブルの多発も近年耳にします。 本記事では、クリーンディーゼル車の特徴とDPFの役割といった基本的な機構の解説や、街乗りだけで本当に問題が生じるのか、また適切な運転方法やメンテナンスについて解説し、愛車との付き合い方に役立つ具体的な情報を提供します。

目次

  1. ディーゼル車とその基本理解
  2. DPFの重要性
  3. ディーゼル車による短距離運転の影響とは
  4. 最大のメンテナンスは「走る事」!?ディーゼル車の最適なメンテナンス方法とは
  5. 愛車を長持ちさせるための運転とは
  6. まとめ:ディーゼル車とDPFの理解で楽しく快適なカーライフを

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1.ディーゼル車とその基本理解

 ディーゼルエンジンとは燃料に軽油を用いたエンジンの事で、1893年にドイツのルドルフ・ディーゼルによって発明されました。その最大の特徴はガソリンエンジンに比べ燃費性能が高く、価格が安い軽油を燃料とする事でしょう。また、馬力・トルクのある大きいエンジンを作りやすい構造な事から大型トラックや4輪駆動車などでも多く用いられるエンジン形式のひとつです。半面、従来のディーゼルエンジンは環境性能が高いとは言えず、ガソリンエンジンに比べると有害物質の排出量が高いものでした。しかし新しい燃料噴射形式の採用により環境性能を改善したクリーンディーゼル車が2008年頃から発売され、現在国内で販売されているディーゼル車のすべては厳しい環境基準をクリアしたディーゼルエンジンとなっています。

2.DPFの重要性

 DPF(Diesel Particulate Filter=ディーゼル微粒子浄化フィルター)は、ディーゼル車の排気ガスに含まれる有害な粒子状物質を捕集し、自動的に燃焼(これをDPF再生という)処理する装置の事で、今日のディーゼル車において非常に重要なパーツです。これにより、有害物質の排出を抑制できるため、空気汚染や健康被害の減少が期待されます。
 DPFは適切な取り扱い・メンテナンスが求められるのもその特徴です。適切な取り扱い・メンテナンスを怠るとDPFが詰まってエンジンの性能が低下するばかりでなく、最悪の場合はエンジン故障の原因にもなりかねません。適切なメンテナンスを心掛けることで、ディーゼル車の効果を最大限に引き出し、環境保護にも寄与することができるのです。

3.ディーゼル車による短距離運転の影響とは

 「街乗りのみでディーゼル車を使用すると壊れやすい。」皆さんはこんな噂を耳にしたことはありませんか?もちろん、ディーゼル車・ガソリン車に限らずストップ&ゴーが多い都市部での利用はクルマへの負担が大きいのは事実。しかし、ことディーゼル車においてはガソリン車と異なる特有の問題が発生することがあります。
 実はディーゼル車はガソリン車に比べ構造的に不完全燃焼を起こしやすく、街乗りがメインだと、エンジン内部やDPFといった部品に煤がたまり、不調の原因となるケースが多いのです。
 元来、トラックや四輪駆動向けに開発されたディーゼルエンジンは長時間運転や高負荷での運転によって最適に動作するように設計されています。そのため、短距離運転の繰り返しはディーゼル車に対してネガティブな影響を及ぼしてしまうと言わざるを得ません。
 特に、昨今はコンパクトカーなどへのクリーンディーゼルエンジンの採用も目立ち、普段使いにクリーンディーゼル車を利用しているといった方も多いでしょう。「自宅から近所のスーパー・コンビニへの足にしか使わない」「都市部での利用がメインで短距離や低速運転がメイン」といった使い方だとエンジンが完全に温まる前にエンジンを切ってしまう為、故障の原因となってしまうのです。そのため、定期的なメンテナンスと適切な運転方法が求められます。
 例えば、長距離運転をする機会が無く、短距離しか運転しない状態が続くと、エンジン内に煤が溜まりやすくなり、先に解説したDPFの詰まりが生じることがあります。DPFはディーゼル車の排ガス中の有害な粒子状物質を捕集する役割を果たしており、定期的な高温運転によってDPFに溜まった煤を焼き切る「DPF再生」と呼ばれるプロセスが必要です。このDPF再生がうまく行われないと、DPFの詰まりやエンジン性能の低下、さらにはエンジン警告灯の点灯といった問題が発生することになります。

4.最大のメンテナンスは「走る事」!?ディーゼル車の最適なメンテナンス方法とは

 結論から言うと、ディーゼル車を最適な状態で保つためには定期的に長距離運転を行うことが重要です。これによりエンジンが十分に温まり、DPFの再生プロセスが効果的に行われ、エンジン内のカーボン蓄積を最低限に防ぐことができます。「ちょっとそこまで」の短距離運転がメインの場合でも、週末や休日に意識的に長距離ドライブを計画することでディーゼルエンジンの健康を保つことができます。そう、最大のメンテナンスは「走る事」なのです。

 次にディーゼル車を適切な状態で維持するためには、定期的に車の診断を受けDPFを始めとした内部部品の状態をチェックすることも重要です。たとえば、定期点検時にDPFの状態を専門家に診てもらうことで、早期の問題発見と対策が可能になります。これにより、長期的なエンジンの性能維持が期待でき、結果としてエンジンの重大なトラブルが発生するリスクを抑えることができるのです。
また、ディーゼル車はガソリン車に比べエンジンオイルが汚れやすい傾向があるのでエンジンオイルの交換は取扱説明書などを参考に指定の距離・期間で確実に行いましょう。

 適切なDPFのメンテナンスとDPF再生プロセスを実施してディーゼル車を長持ちさせることは、愛車を長持ちさせるだけでなく、環境保護にもつながります。定期的なメンテナンスを怠らず、正しい運転方法やメンテナンスを心がけることで、ディーゼル車の健康を確保し続けたいものです。

5.愛車を長持ちさせるための運転とは

 クリーンディーゼル車を長持ちさせるためには、正しい運転が不可欠です。日常的な運転テクニックとして、定期的に高速道路を利用してエンジンを高回転で運転する習慣を付けることを推奨します。
短距離の街乗りばかりではDPF再生がうまく進まず、故障の原因となります。そのため週に一度は高速道路を走行するなどの方法で、エンジンをしっかりと燃焼させることが望ましいのです。高速道路での走行の際もエンジン回転数を急激に上げず、徐々に速度を上げることによってより燃焼効率を高めることができます。

ディーゼル車を長く快適に利用するためには適切な運転テクニックを日常的に実践し、DPF再生を促す事が重要です。これにより、ディーゼル車の魅力である燃費性能や耐久性を最大限に引き出し、維持することができるでしょう。

6.まとめ:ディーゼル車とDPFの理解で楽しく快適なカーライフを

 本記事ではディーゼル車とDPF(ディーゼル微粒子浄化フィルター)に着目し、ディーゼルエンジンの特長やDPFの重要性、そして街乗りでの影響と問題点を解説しました。結果として最も効果的なメンテナンスは意識的に長距離・高速走行をする事であり、エンジンに適度な負荷をかけることでDPFの再生を促す事ができるのです。

 逆に言うと、定期的に長距離運転を行わない方はディーゼル車のメリットを十分に享受できないかもしれません。もちろんパワフルな走行性能や経済性は魅力的ですが、それ以上にメンテナンス(意識的な長距離ドライブや点検)にお金がかかってしまう為です。短距離運転がメインの方はガソリン車も視野に、双方のメリット・デメリットをよく理解したうえでクルマ選びをすると良いでしょう。

ディーゼル車を所有している方は、本記事で解説したDPFの機能とメンテナンスを正しく理解し、適切な運転・メンテナンスを心がけましょう。また、これからディーゼル車を購入する予定の方は、この記事を参考に、自分にとって最適なクルマ選びの参考にして頂けると幸いです。


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この記事を書いた人 MOBILA編集部

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