2024年2月1日に、ブリヂストンのプレミアムタイヤであるレグノシリーズの新商品、「レグノ GR-XⅢ(ジーアールクロススリー)」が発売されました。
今回発売された「レグノ GR-XⅢ」を試乗する機会があったので、新たなフラグシップモデルの実力を皆様にお届けします。
ブリヂストンのフラグシップモデル「レグノシリーズ」とは
レグノシリーズというとブリヂストンがラインアップする日本国内向けタイヤとしては、最高の静粛性と乗り心地を追求したシリーズであり、1981年に発売された初代レグノの「GR-01」から進化をし続けているモデルとなっています。
40年以上続くシリーズの中で、レグノシリーズに求められている静粛性や乗り心地を向上させていることはもちろんですが、時代の変化によってユーザーが求めるものや車両の変化にも対応してきました。
特に車両の変化は40年間で大きく変化しており、クラウンを例にすると初代レグノがデビューした時期に発売していた6代目クラウン(MS110系)では150馬力にも満たないエンジンに1,500kgほどの車重だったのが、1990年代の9代目(JZS140系)では200馬力を超えて1,700kgに近い車重になり、2000年代に発売された12代目(GRS180系)では300馬力を超えるモデルも発売され、さらに13代目(GWS200系)から追加されたハイブリッドモデルでは1,800kgを超える車重となり、現行のクラウンシリーズ(クロスオーバー・スポーツ・セダン)ではHEVやFCEVのモデルも追加され、最も重いモデルでは2,000kgを超えるものもあります。
このように時代の変化とともに大型化する車に、レグノシリーズはその時代の最高峰のタイヤとしてユーザーに提供するべく、ブリヂストンの最新技術をもって開発され続けているモデルとなります。
新商品「レグノ GR-XⅢ」の開発ポイント
時代の変化にともなって進化するレグノシリーズですが、今回の新商品「レグノ GR-XⅢ」の開発のポイントは、商品設計基盤技術である「ENLITEN(エンライトン)」であるとブリヂストンの開発担当者は語りました。
この「ENLITEN」とは、製品のもつ性能を全体的に向上させたうえで、製品を実際に使う地域やユーザーが求める性能にエッジを効かせる「究極のカスタマイズ」とのことです。
性能を全体的に向上させるのは非常に難しく、例えば静粛性を向上させようと柔らかいゴムを採用すると、静粛性や乗り心地は向上するものの、相反するハンドリング性や耐摩耗性などが失われてしまうとのことで、これに対してブリヂストンがもつ分子レベルでのゴムの配合設計やAIを使用したデータ解析を用いて実現に至りました。
日本国内向けのタイヤであるレグノシリーズの「究極のカスタマイズ」としては、空間品質としての“静粛性”、走行性能としての“ハンドリング性”、サステナビリティとしての“軽量”“資源循環性”が主に味付けされています。
“静粛性”については、ただ柔らかいタイヤをつくるのではなく、音(ロードノイズ)を吸収するために素材の選択やトレッドパターンのデザインをし、荒れた路面では従来品(GR-XⅡ)と比較して12%のロードノイズ低減という実験結果となりました。
“ハンドリング性”については、昨年SUPER GTのドライバーを引退した立川祐路にも開発に参加してもらうことで、レーンチェンジ時のふらつきなどの性能を向上させました。
“軽量”については、235/45R18サイズで従来品より1kgほど軽量化し、昨今広まりつつあるEV車の航続距離増加にも寄与するとのことです。たった1kgと思う方もいると思いますが、高速回転するタイヤは回転のもっとも外側に位置することでその遠心力の差はとても大きくなり、走行時の乗り心地や操縦性などの向上にもつながります。

実際に試乗にて性能を実感
ここまで長くレグノシリーズおよび新商品の凄さを語ってきたものの、筆者には不安なところがあります。
確かにレグノシリーズの静粛性については理解しており、その実力については実感できるとは思いますが、従来製品との乗り比べで新商品の進化した部分を実感できるかについては、実感できるかどうか自信はありません。
それでも皆さまにブリヂストンの最新技術と思いが込められた新製品の情報を届けるべく、実際に感じたことを本音でお伝えします。

公道での「レグノ GR-XⅢ」試乗
公道での新商品の試乗では、車両とドライバーを変えて2回の試乗となりました。
まず初めにレクサス ES300hのハンドルを握って試乗開始。
畑に囲まれて路面状況もあまりよくない一般道を走り始め、荒いアスファルト路面による「ゴー」というロードノイズのあまりの少なさにまず驚きました。
また、路面の凹凸を通過する際の「ドムッ」という音についても非常に抑えられていることも感じることができました。
高速道路走行時は、走行風が発生させる音は気になるものの、タイヤから発生するロードノイズが耳に障るということはありませんでした。
もちろん車両自体の静粛性や、普段使用しているタイヤとの違いで大げさに感じる部分もあるとは思いますが、レグノだからこその恩恵というところは大きいと思います。
2回目の走行では同行していた編集部メンバーの運転の元、筆者はBMW i4の後部座席に乗車することになりましたが、後部座席はタイヤとの距離が近いこともあり、その静粛性の実力を大いに実感することができました。
そして、最も実感できたのが高速道路走行時の静粛性です。
運転席に座るスタッフと後部座席(助手席後ろ)に座る筆者で、高速道路走行時にどれくらいのボリュームで会話できるか試したところ高速道路だからとボリュームを大きくすることはなく、お互いに声を聞き取れずに聞き返すということにもなりませんでした。
これは家族やグループでのドライブをする際には、大きなメリットとなります。

テストコース内での「レグノ GR-XⅢ」試乗
公道での試乗に続いて実施したのが、テストコースでの試乗です。
試乗会に参加するメンバーはバスに乗り込んでテストコース内の待機所に向かうことに。
テストコースは外部から見られないよう樹木で囲まれており、開発状況やテスト内容を外部から見られないように配慮されていました。(上の試乗車の写真で背後に写っている壁のようなものが樹木の目隠しです)
テストコース内では、様々な種類の路面や段差を通過する「空間品質テスト」と高速走行やスラローム走行などの「走行性能テスト」を、新商品である「レグノ GR-XⅢ」と従来商品である「レグノ GR-XⅡ」の両方をテストしました。
それぞれのテストでは、初めに従来品を装着した車両で走行し、スタート地点に戻ってきて新商品を装着した車両で走行するという流れで実施しました。
従来品の「空間品質テスト」走行時、荒れたアスファルトや段差等のロードノイズが発生しやすい路面にもかかわらず、そのロードノイズの少なさにレグノシリーズの凄さを感じることができました。
その後、新商品に乗り換えてテストを開始した際、従来品と同じようにロードノイズの少なさを感じることができましたが、元々が静かな走行であったこともあり、新商品の進化した部分を明確に感じ取ることができませんでした。
しかし、段差を通過した際の「ダムッ」という突き上げる感覚と共に聞こえる音については、従来品より抑えられていることは感じ取ることができたので、音の大きいロードノイズであれば違いを明確になるのではないでしょうか。
続いて実施した「走行性能テスト」について、まずはオーバルコースを100km/h以上での走行や高速道路での車線変更を想定した動きを確認。
従来品と新商品では、高速走行時の安定性やカーブの通過に大きな差を感じませんでしたが、100km/h以上で走行時の車線変更を想定した動きでは新商品の安定感をより感じることができました。
また、低速走行でのスラローム走行では、ハンドルを切った際の応答性の良さも新商品に軍配が上がりました。
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試乗だけではわからない進化もある「レグノ GR-XⅢ」
今回は限られた時間での試乗ということもあり、濡れた路面での走行性能や燃費性能などの確認はできませんでしたが、レグノシリーズの実力や新商品の進化を感じることができました。
また、今回試乗した車両はセダンタイプが多かったですが、ミニバンやコンパクトカーだと感じ取れる違いも変わってくると思います。
ブリヂストンはその時代のユーザーが求めるものや車両の進化に合わせてレグノの新商品を開発しています。
昨今増えている電気自動車では、車両自体の大型化や重いバッテリーを積んでいることで従来車と比較して車重が増えていることによる耐荷重や走行性能の変化や、1回の充電での航続距離を伸ばせるかというところが求められている性能となっています。
「レグノ GR-XⅢ」ではそういった電気自動車の普及に対応した商品にもなっていますので、ぜひ次世代の車両にお乗りの方は、新たな時代を切り開いた「レグノ GR-XⅢ」を検討してみてはいかがでしょうか。
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