
洗車の際には拭き上げという工程も欠かせない。水滴をそのままにしておくと、乾燥したあとが残って汚くなってしまうからだ。
拭き上げの際には拭き上げ用のクロスを使うのがいい。綿の雑巾などよりも吸水性が高く、水滴を残さずに拭き上げるのが容易だからだ。
そして、水滴の拭き上げといえば、長年にわたって定番となっている製品がある。いわゆる人工セームと呼ばれるもので、その代表的な製品が『プラスセーヌ』だ。

天然のセーム皮の代わりとして登場したのが60年前
このプラスセーヌ、2023年が発売60周年だというのだから、かなりのロングセラーだ。その長きに渡って愛用されているわけである。
このプラスセーヌが発売されるまで、洗車後の拭き取りには鹿の革をなめした「セーム」がよく使われていた。しかし、天然ものなのでサイズや大きさは一定ではなく、キズの問題もあり、供給は安定しなかったようだ。そんな時代に、吸水性の高いPVAスポンジを用いた合成セームであるプラスセーヌが登場したのである。
プラスセーヌは高い吸水性を持ち、拭き取り性能に優れている。多量の水を吸収できるほか、絞ればすぐに吸水力が復活するので、繰り返し使用できる。1枚あれば大型車の拭き取りもこなしてしまうのだ。
洗濯機で洗濯もでき、PVAスポンジの間に、ポリエステル繊維の芯材を入れた三層構造のため、引っ張っても破れにくく、優れた耐久性を発揮する。容易に性能は落ちないので、洗っても取り除けない汚れによって目詰まりし、吸水性が低下するまで使い続けられる。

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ボディに適度に張り付いて、水分を根こそぎ吸収する
クルマの濡れたボディに広げてやると少し吸い付くような感触を見せる。手前側を引っ張ってやれば水分はきれいに吸収されて、水滴はボディ面にはほぼ残らない。それを何度か繰り返すと、プラスセーヌは重く、水っぽくなってくるが、また絞ってやれば驚くほどの水が出てくる。そしてまたプラスセーヌは最初と同じように水を吸い取ってくれる。
グリルやドアハンドルなどの細かい形状の部位は、広げて使うのではなく、折りたたんで使うのがいい。広いところはLサイズ、狭いところはSサイズと使い分けてもいいし、Rサイズなら比較的オールラウンドに使えるだろう。

表面の凹凸で密着度をコントロールし使い勝手も進化
なお、このプラスセーヌの発売当初は、ボディに密着しすぎるという扱いにくさもあったようだ。最初はフラットタイプだったのだが、現在のモデルモデルは、表面に小判型の模様を入れたエンボスタイプとなって摩擦抵抗を減らし、扱いやすさを高めている。この標準モデルのほかにも、フラットな表面ながら摩擦を減らしたLF(ローフリクション)タイプ、表面に細かな凹凸をつけたエッチングタイプなどもラインアップして、ユーザーのニーズに応えている。
この驚異的な吸水性と、絞って繰り返し使えるというプラスセーヌの特性は、現在でも優位性を保っている。水分の拭き取りに関しては、やはり定番中の定番といえるアイテムだ。

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