冠水路に突っ込むのは自殺行為。水没すればドアを開けにくくなる
ゲリラ豪雨や台風の多発により道路が冠水。水没事故というニュースも増えている。クルマは冠水路でどれぐらい走れて、水没するとどうなるのか。JAFが行ったテストを参考に解説する。
冠水路走行テストによると、水深60cmでセダンは時速10kmのときには30m走りきれたものの、上りスロープにさしかかったところでエンジンストップ。車高が高いSUVでも、時速10kmのときは走りきれたが、時速30kmではわずか10mでエンジンが停止したという。このようにクルマは、エンジン内に水が入るとあっけなく走行不能に陥るのだ。
なお、セダンでは水深30㎝を時速10㎞で走っているときには水がバンパーの上あたりまで達していたものの、フロントグリルからエンジンルームに入ることはなかったという。しかし、時速30㎞のときには水を巻き上げてエンジンルームに浸入している。速度が上がるほど危険度は増すというわけだ。
ただし、ゆっくり走れば大丈夫ということではない。最大の対処法はいうまでもなく、冠水路は走らないこと。走行中の道で不意に水が増えてくる場合はさておき、冠水しているアンダーパスに突っ込むのは自殺行為だ。その冠水が深ければ簡単にエンジンはストップし、クルマは水没する。
水没テストでは、後輪が浮いている状態と完全に水没している状態で、セダンは前席ドア、ミニバンはスライドドアが開くかの可否が試されている。なお、セダンの場合は水深60cm、ミニバンは水深90cmから後輪が浮き出し、この状態ではいずれもドアを開けられなかった。というのも、後輪が浮くのは車内に水があまり浸入していない状況。この場合、車内と車外の水圧差が大きくなるため、外から押されるかたちとなってドアは開けられない。
次に、車内に水が浸入してクルマが完全に水没している状況だと、車内外の水圧差が小さくなって少しだけドアは開けやすくなる。ただし、水深60cmでドアを開けるのにセダンの前席ドアは24秒、ミニバンのスライドドアは55秒もかかった。大きなスライドドアは、車内外の水圧差が小さくなってもドア開けは容易ではないというわけだ。水没するような状況を回避するのが鉄則なのに変わりはないが、万が一にも水没したときは、早めに脱出できるかどうかが命運を握ることになる。

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