快適カーライフに必要不可欠なカーエアコンの仕組み
エアコンとは「エアーコンディショナー」の略で、日本語にすれば空気調和機、略して空調のこと。空調には冷房だけでなく暖房や除湿も含み、空気を冷やす「冷媒サイクル」と暖気を生み出す「熱源サイクル」の2系統で成り立っている。
エアコンの仕組みはクルマ用も家庭用もほぼ同じだが、クルマの場合、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサーを回すのはエンジンの役割。そして作り出された冷たい空気は、温度センサーによる室温設定に応じて冷気のままブロワーから送風されたり、エンジンの廃熱であるヒーターユニットの暖房とミックスされて適温化されている。
クーラーには熱を奪うための液体として冷媒ガスが使われる。このガスは冷媒サイクルのなかで液体、気体、さらに霧状になるなど激しく姿を変え、エバポレーターというクーリングユニットで蒸発する際に周囲の熱を一気に奪い去り、冷たい空気を作り出す。エバポレーターとは英語のevaporate=気化するという意味。この仕組みを身近なものでたとえると、注射の前に消毒用アルコールで腕を拭うと、アルコールが体温によって蒸発して体の熱が奪われて冷たく感じる「気化熱現象」に近い。クーラーの仕組みは、それをより大掛かりにしたものだ。
カーエアコン用の冷媒ガスは、1990年代までR12というフロンガスが使われていたが、フロンによるオゾン層破壊が問題視され、現在はより環境負荷の少ないR134aが使われている。
カーエアコンの冷房能力は家庭用の20畳相当。そのぶん消費電力も高い
家庭用エアコンでは、冷房能力が購入時の基準となる。たとえば、冷房能力が2.2kWなら6畳の部屋、5.0kwなら20畳の部屋に適しているとされ、部屋の広さに応じてエアコンを選ぶことになる。
では、カーエアコンの冷房能力はどれくらいなのか? 車格やボディサイズによって当然異なるが、「一般的な乗用車のカーエアコンは家庭用の20畳用くらい」といわれている。20畳用だと6.3kWほどの能力だ。ボディが鉄板でできているうえに夏は炎天下にさらされ、しかもルーフ部分にはしっかりとした断熱材が入っていない乗用車の過酷な使用環境を考えれば、それくらい強力な能力が必要になるということだろう。
ただし、そのぶん消費電力も高い。あくまで車種による違いがあるとはいえ、消費電力は最大で200Wクラス。数あるクルマの電装品のなかでトップの消費電力だ。当然、バッテリーへの負担が一番大きい電装品でもある。渋滞にはまったり、ふだん走る機会が少ない、ちょい乗りが多いなど充電率が落ちる使用環境は、さらにバッテリーにとっては過酷な状態となる。エアコンを快適に使い続けるためにも、日頃からバッテリーの状態をチェックすることが大切だ。

カーエアコン必須のメンテナンス。カビ臭にはエバポレーター洗浄が効く
カーエアコンのメンテナンスとして、その第一歩となるのがエアコンフィルターの定期交換。フィルターには虫や落ち葉、ホコリ、排気ガスなどの侵入を防ぐ役割があるわけだが、汚れた状態では「ろ過機能」が低下する。エアコンフィルターは1年ごとの交換が目安となる。
そしてやはり、カーエアコンのメンテナンスとして必須となるのがカビ臭の消臭。消臭・脱臭グッズによってある程度のカビ臭を取り除くことはできるが、それでは根本的な解決にはならない。カビの発生源を掃除するのがベストだ。
カビの発生源は熱交換器であるエバポレーター。冷媒サイクルのなかでエバポレーターは非常に冷えた状態にあり、ブロワーによって送られてきた空気が通過すると結露によって水が発生する。その状態でエアコンの使用をやめると、水分は乾かず付着したままとなり、カビや雑菌の繁殖に最適な環境となってしまうのだ。
エバポレーターの掃除は、専用のカーグッズを使ってDIYで行うことも可能。また、オートバックスでもエバポレーター洗浄メニューを用意している。それらを利用して、カビ臭の根源を断とう。
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