2023.4.18

乗員の大切な命を守る保護装置・カーライフ知っ得ゼミ『安全装備』

シートベルト&エアバッグは不可分の関係

 2006年8月の道路交通法改正により、後部座席を含む全席でのシートベルト着用が義務化された。さらに2012年7月以降の新型車では、後部座席用も3点式シートベルトの設置が義務化されている。一方、シートベルトと同様の乗員保護装置であるエアバッグは、装備を義務付けしていない。
 エアバッグの正式名称は「SRSエアバッグシステム」という。SRSはSupplemental Restraint Systemの略語で、補助拘束装置を意味する。つまり、エアバッグは乗員を拘束するシートベルトを補助する装置、ということだ。
 シートベルトは事故等で大きなGがかかるとロックがかかり、体をガッチリ支えてシートに密着させる。だが、それでも頭部や胸部は前に飛び出し、ハンドルやインパネに当たってダメージを受けてしまう。そうした危険を補助的に回避させ、ケガを防止するのがエアバッグの役割だ。
 シートベルトの着用義務違反は、運転席と助手席が一般道路と高速道路でともに違反点数1点、後部座席は高速道路のみが違反の対象となり、いずれにおいても反則金や罰金などの罰則はない。いわゆる「軽微な違反」であり、軽視される傾向にある。しかし、国土交通省の2014年における調査では、シートベルト非着用者の致死率は着用者の14倍だった。エアバッグが装備されていても、シートベルトが不要ということはない。乗員保護装置としてもっとも大きな役割を果たすのはシートベルト。そして、エアバッグはシートベルトとペアでこそ機能する保護装置なのだ。

衝撃で体を固定、その後緩めて圧迫解除。シートベルトの安全性を高める技術

 シートベルトは単に体を固定するだけでは衝撃を受けきれない。そのためシートベルトには、衝突や急制動でベルトを瞬時に引き込んでたるみをなくすプリテンショナー機能が備わっている。プリテンショナーはリトラクターやバックル、ベルトを固定するアンカー部分などに組み込んだ装置を、強力なガス圧で瞬間的に作動させることでベルトを巻き取り、体を拘束する。
 そのプリテンショナーと同時に装備されるのが、ロードリミッターというベルトの自動送り出し装置だ。ベルトを強く引き込んだままだと、胸部を圧迫するため危険。そこでプリテンショナーの作動後、ロードリミッターがベルトを送り出して拘束を解除する仕組みになっている。
 なお、ベルトの窮屈感を嫌い、ストッパーなどを使ってベルトをたゆませて装着している人もいるかもしれないが、その場合、一連の安全機構に支障が出る可能性がある。正しい着用を心がけよう。


体を瞬間的に拘束するプリテンショナーと、それとは逆の動作をするロードリミッターは、必ずワンセットで装備されている。

 


エアバッグは大人の体格を想定。子どもの指定席は後部座席に

 衝撃を検知してからエアバッグが完全に膨張するまでは、わずか100分の3秒ほど。時速にして最速300km/hに達するという。シートベルトをしていなければ、その衝撃をまともに受けることになるわけだ。
 特に危惧されるのは、小さな子どもへのダメージ。エアバッグは、大人を想定した位置に備えられている。そのため、子どもは助手席ではなく後席に乗せるのがいい。やむを得ず助手席に座るときは、シートをできるだけ後部にスライドさせて、エアバッグとの距離をとるようにしよう。
 チャイルドシートは助手席への設置を法律上は禁じていないが、後部座席への取り付けが推奨されている。助手席に設置すると、エアバックとの距離が近づくからだ。特に子どもを後ろ向きに座らせる乳児用のチャイルドシートは、助手席への設置はNG。エアバッグが背面に当たり、チャイルドシートごと突き飛ばされるおそれがあるからだ。


エアバッグは大人の体格に合わせてあり、小さな子どもには適さない。チャイルドシートの使用はエアバッグとの距離が近づき危険。チャイルドシートの有無に関わらず、子どもは後席乗車が安全だ。

 


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この記事を書いた人 カーグッズマガジン編集部

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