2023.5.19

先を行くオールシーズンタイヤ『VECTOR 4SEASONS GEN-3』 =カーグッズ・オブ・ザ・イヤー2022 傑作選=


GOODYEAR『VECTOR 4SEASONS GEN-3/GEN-3 SUV(価格:オープン)』

 

市場を作り、そして伸ばす。ブレークスルーの歩みとステップ


 オールシーズンタイヤは、欧米を中心に普及が進んできた。長距離移動が多い北米では、走る地域により天候が変わりやすいためでもある。また冬タイヤの義務化が進んだことが、スノーフレークマーク付き全天候型タイヤの普及に一役買ったとも言われる。
 日本はどうか? 多くのタイヤメーカーが新商品を投入し、カー用品店の一角に専門コーナーを設ける店舗も増えてきた。急な降雪にも慌てずに済み、1年中履き替える必要がない利便性が非降雪地帯のユーザーに受けている。


オールシーズンタイヤの先駆けともなったベクターのプレミアムモデル。ドライ・ウェット・スノーと、いずれの路面でも対応力が高められ、静粛性を始めとする快適性も一段上に。そのアドバンテージはタイヤのもちにまで及ぶ。

 

各種ノイズを3割以上抑え込んで静粛性をさらなる高みに

 そうした時流を汲み、新たな一手に打って出たのが、日本にオールシーズンを初めて持ち込んだ先駆でもあるグッドイヤーだ。ここで紹介するモデルではプレミアムオールシーズンという新たな価値観を掲げ、全天候型タイヤを次なるステージへと引き上げた格好だ。
 注目すべきは、優れた冬タイヤ性能はそのままに静粛性が高めたこと。ブロック配列を細分化することでパターンノイズは36%、ロードノイズは31%低減している。電気自動車やハイブリッドは相対的にタイヤノイズも気になりがちであり、感じ方としては時として数値以上に感じられる場合もあるだろう。
 ブロック剛性を高めつつ、接地形状を見直すことで偏摩耗を抑制し、ライフ性能を向上しているのも見逃せない。物価が軒並み上昇している昨今、我々消費者としては少しでもタイヤを長持ちさせたい。そうしたニーズを的確に捉え、ロングライフ化を果たしたのも嬉しいニュースといえる。


=選出理由=

先駆が提唱するプレミアム化の誘い

 

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対応路面を問わずパフォーマンスをマルチに底上げ!

 肝心の冬タイヤ性能はどうか? このタイヤでは、厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮する証といえるスノーフレークマークやM+Sマークを取得し、冬タイヤ規制時も使用できる。スタッドレスほどの氷上性能は備えないものの、十分すぎるほどのスノー性能を保持しているのが頼もしい。
 そのうえ、ドライ&ウェット路面で我慢を強いられることもなく快適に走ることもできる。オールシーズンユースの持ち味を活かしつつ、快適性のレベルを一段引き上げたプレミアムモデルの登場により、オールシーズンタイヤ全般の認知もさらに高まるに違いない。


雨のドライブでも安定した走りを披露し、不安を覚えるシーンは一切なかった。オールシーズンの進化を実感できる1本といえる。

 

生みの親に聞く、製品リリースの舞台裏

 それまで馴染みがなかったオールシーズンタイヤというジャンルを日本市場に持ち込んだ牽引役こそがグッドイヤーであり、その象徴こそがベクターだった。
「オールシーズンといえばベクターというような感じで、日本に浸透し始めたのではないかというところがまずスタートになります。ハイブリッド(フォーシーズンズ・ハイブリッド)は2016年に発売してからかなり経ってましたので、次期モデルでは改善したいなと思っていたんです」。
 そんなタイミングで、格好の新モデルが欧州で開発された。
「ハイブリッドよりもかなり性能が上がってるということで、日本に導入してみようかという検討が行われました。開発陣の話を聞くと、オールシーズンとしては世界に出しても恥じないような性能がある、と。
 特に欧州の方では場所によってかなり雪質が違うんですね。フィンランドに冬タイヤの性能試験をするとか、夏だったらニュージーランドに行ったりと、オールシーズンタイヤですから色々な所で評価するという話を聞いてたので、かなり期待はしていました。
 ただ、日本の雪質はやっぱりヨーロッパと違う。そこで日本の雪で確認したいとなって、評価部隊と一緒に北海道でテストを行いました」。
 結果は上々だった。
「まず雪上性能に関してはハイブリッドよりも若干良くなっていました。じゃあ今度は夏性能というところで、冬シーズンが終わった後にも評価したところ、特にハンドリングですとか静粛性がかなりハイブリッドよりも良くなってることを確認できました。
 だからこそ、ハイブリッドからスイッチするのではなくて、プレミア的な価値が高級志向のお客様にも合うだろうということで、日本で発売しようとなりました」。
 それでも、限られた一部の方に向けたものではないという。移動手段としてクルマを使われる方向けに広く提案するのは変わらない。既存モデルでは対応しきれなかったユーザーにも、オールシーズンタイヤの良さを提供できるように。つまり、これまで以上に間口が広がったとも言える。事実、純正OEMタイヤにも、GEN3は採用が増えている。
「私のクルマにも、別のグレードで純正採用されていたGEN3に付け替えたんです。ノイズに関しては、サマータイヤと遜色なく、ドライ走行についても全く気になるところはありません。手前味噌ながら、いいタイヤでお勧めです」。
 その背景にあったのは、バーチャルシミュレーターの存在だという。タイヤ業界でもリーディングカンパニーとも言えるこの充実した体制こそ、オールシーズンタイヤの開発には強みになった。様々な気象条件を再現しやすくなり、走行テストの回数も減らすことができるためだ。
 そして、それがサステナビリティにもつながる。通年使い続けられる製品恩恵との両面で、まさに“今”を象徴する製品リリースでもあったわけだ。


日本グッドイヤー株式会社

商品企画部

技術・品質保証グループ マネージャー

古谷明弘 氏

 

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この記事を書いた人 カーグッズマガジン編集部

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